2026年4月29日(火)、Sweat Economyを含む複数のDeFi(分散型金融)プロトコルで資金流出が発生しました。これを受け、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストであるジェームス・セイファート氏は、暗号資産(仮想通貨)業界が直面している真の脅威はAI(人工知能)ではなく、依然として解決されないセキュリティ上の脆弱性であると指摘しています。本件は、技術的なトレンドが注目を集める一方で、資産保護という根本的な課題が解決されていない現状を浮き彫りにしました。
複数のネットワークで発生した資金流出の概況
今回の事案では、NEAR、Base、Suiといった複数のネットワーク上で稼働するプロトコルが対象となりました。
Baseネットワーク上のSyndicate Commons(シンジケート・コモンズ:暗号資産のインフラプロトコル)では、ブリッジから1,850万SYND(約33万ドルから40万ドル相当)が流出しました。流出した資金は、その後イーサリアムネットワークへ送金されたことが確認されています。
また、Suiネットワーク上のAftermath Finance(アフターマス・ファイナンス:無期限先物取引プロトコル)においても、約114万USDC(米ドル連動型ステーブルコイン)の損失が発生し、プロトコルの運用が一時停止される事態となりました。
Sweat Economyの事例と「救出」の背景
NEARプロトコル上で展開されているSweat Economy(スウェット・エコノミー:歩くことで報酬が得られるプロジェクト)では、当初、供給量の約65%にあたる137億1,000万SWEAT(約346万ドル相当)が不正に流出したとの懸念が広がりました。
オンチェーン分析の結果、この動きは4月27日に行われたスマートコントラクトの再デプロイ(プログラムの再配置)に関連していることが判明しました。この再デプロイにより追加された特定のメソッドが実行されたことで、大量のトークンが移動していました。
しかし、その後の調査により、この資金移動はハッキングによるものではなく、財団による「レスキュー(資産救出)」を目的とした措置であったことが明らかになっています。当初の報道では他のハッキング事件と並んで「流出」として扱われていましたが、Sweat Economyに関しては不正流出ではなかったという矛盾点が確認されています。
セイファート氏が指摘する「業界の真の問題」
一連の騒動を受け、ジェームス・セイファート氏は、業界内で盛んに議論されている「AIが暗号資産に与える影響」よりも、ハッキングやセキュリティリスクこそが喫緊の課題であるとの見解を示しました。
セイファート氏は、暗号資産コミュニティにおけるAI対暗号資産の議論を念頭に、デジタル資産にとっての最大の脅威は、以前から変わらずセキュリティ上の脆弱性であると強調しています。ビジネスパーソンにとっては、最新の技術トレンドを追うだけでなく、プロトコルの安全性や資産管理の堅牢性を再確認することの重要性が改めて示された形です。
ポイント
- 2026年4月29日にNEAR、Base、Suiの各ネットワークで相次いで資金流出事案が発生しました。
- Syndicate CommonsやAftermath Financeで、数十万ドルから百万ドル規模の資産が失われました。
- Sweat Economyの事例は当初ハッキングと疑われましたが、実際には財団による資産救出措置であったことが判明しています。
- ジェームス・セイファート氏は、AIよりもハッキング被害こそが暗号資産業界が解決すべき真の課題であると指摘しました。
- 流行の技術議論よりも、セキュリティという根本的なリスク管理がビジネス継続において重要であると再認識されています。