SBI VCトレード株式会社と株式会社アプラスは、米ドル建てステーブルコインであるUSDCを活用した店舗決済の実証実験を大阪市内で実施します。本実証は2026年5月25日から5日間行われ、既存の決済インフラを活用しながらステーブルコインを日常的な支払いに利用する仕組みを検証します。暗号資産を決済過程で日本円に交換する手法をとることで、実店舗への導入ハードルを下げる試みとして注目されます。
実証実験の概要と実施場所
本実証実験は、大阪府と大阪市が推進する「国際金融都市OSAKA」施策の一環として、2026年5月25日から29日までの期間で実施されます。対象となる店舗は、飲食店「名代 宇奈とと」本町店と、家電量販店「ビックカメラ」なんば店の一部区画です。
利用者は、メタマスク(MetaMask)などのプライベートウォレットに保有しているUSDC(米Circle社が発行する米ドル連動型ステーブルコイン)を使用し、店頭に設置されたQRコードを読み取ることで決済を行います。これにより、飲食店での食事や家電製品の購入といった日常的な消費行動におけるステーブルコインの利便性を検証します。
既存インフラと整合させる決済スキーム
今回の実証実験では、ユーザーが支払ったUSDCを直接店舗が受け取るのではなく、決済の過程で日本円に交換する仕組みを採用しています。具体的なフローは以下の通りです。
まず、ユーザーがウォレットからUSDCで支払いを行うと、SBI VCトレードがそのUSDCを日本円に交換し、アプラスへ送金します。その後、アプラスが店舗に対して日本円で入金を行います。
このように、決済の途中で「円転」を行うことで、店舗側は従来の加盟店決済インフラを大きく変更することなく、USDCによる支払いを受け入れることが可能になります。暗号資産を直接取り扱うことによる店舗側の会計処理や税務上の負担を軽減しつつ、既存のインフラとの整合性を確保する設計となっています。
インバウンド需要の取り込みと実用化への狙い
両社は今回の実証実験を通じて、国内居住者だけでなく、海外からの旅行者によるインバウンド需要の取り込みも視野に入れています。海外で普及しているUSDCをそのまま日本国内の店舗決済に利用できる環境を提示し、認知度を広めるとともに、実用化に向けた知見を獲得することが目的とされています。
国内におけるステーブルコイン決済の先行事例としては、日本円建てステーブルコイン「JPYC」を用いたお好み焼店での実験などがありますが、今回は米ドル建てのUSDCを用い、かつ家電量販店のような高単価な商材を含む場での検証となります。限られた期間ではありますが、ステーブルコインが「日常決済」の手段としてどの程度浸透し得るかを探る重要なステップになると見られます。
ポイント
- 2026年5月25日から29日までの5日間、大阪市内の飲食店と家電量販店でUSDC決済の実証実験が行われます。
- ユーザーが支払ったUSDCをSBI VCトレードが日本円に交換して店舗へ入金する仕組みにより、既存の決済インフラを活用します。
- メタマスクなどのプライベートウォレットからQRコードを通じて直接支払いができる利便性を検証します。
- 国内外の利用者を対象に、ステーブルコインを日常的な消費(食事や家電購入)に活用する際の実用性を探ります。
- 大阪府・市が掲げる「国際金融都市OSAKA」施策の一環として、都市の金融機能強化に寄与する取り組みとして位置づけられています。