Visaがステーブルコイン決済ネットワークにPolygonを追加、決済の24時間化を推進

決済大手のVisa(ビザ)は、自社のステーブルコイン決済プログラムの対応ネットワークにPolygon(ポリゴン)を追加しました。これにより、フィンテック関連のカード発行会社は、従来の銀行の営業時間や休日に縛られることなく、24時間365日の決済清算が可能になります。ブロックチェーン技術を活用することで、従来の金融システムにおける清算の遅延と、それに伴う企業の運転資本コストの削減を目指す取り組みとして注目されています。

銀行システムの制限を解消する24時間決済の導入

Visaがステーブルコイン決済ネットワークにPolygonを追加、決済の24時間化を推進

クレジットカード等の決済は、利用者にとっては瞬時に完了しているように見えますが、その裏側で行われる発行会社間の最終的な資金清算(セトルメント)は、依然として銀行の営業日やカットオフタイム(当日扱いの締め切り時間)、週末、祝日などのカレンダーに依存しています。

この仕組みは、特にフィンテック企業にとって、清算が完了するまでの間に資金を確保しておく必要があるため、ワーキングキャピタル(運転資本)のコスト増大を招く要因となっていました。VisaがPolygonを清算ネットワークに加えたことで、発行会社は標準的な銀行の営業時間外でも決済フローを完結させることが可能になり、資金効率の向上が期待されています。

Polygon採用の背景と技術的な意義

Polygonは、Ethereum(イーサリアム)のレイヤー2ソリューション(メインのブロックチェーンの処理を補完し、高速化や低コスト化を実現する技術)として広く普及しています。VisaのプログラムにおいてPolygonが選ばれた背景には、その高い処理能力と低コストな手数料体系があるとされています。

公開されているデータによると、Polygonは世界の米ドル建てステーブルコイン送金の約34%、USDC(サークル社が発行するステーブルコイン)送金の約54%を占めるなど、ステーブルコイン決済において主要な役割を果たしていると報告されています。取引手数料が極めて安価であり、約4秒という迅速な取引確定(ファイナリティ)を実現している点も、大規模な金融決済を支えるインフラとして評価された要因と見られます。

拡大するVisaのマルチチェーン戦略

今回のPolygon追加により、Visaのステーブルコイン決済パイロットプログラムが対応するブロックチェーンは計9種類に拡大しました。これには既存のEthereumやSolana(ソラナ)に加え、同時期に追加されたBase(ベース)やArc(アーク)などが含まれます。

Visaの発表によれば、同プログラムの年間換算での決済額は2026年4月時点で70億ドル(約1兆円超)に達しており、前四半期比で50%の成長を記録しているとされています。パートナー企業が求める多様なネットワーク環境に対応するため、Visaは特定のチェーンに限定しない「マルチチェーン戦略」を強化しており、ブロックチェーンが従来の決済インフラの補完的な役割から、実用的な代替手段へと進化しつつあることを示唆しています。

ポイント

  • Visaがステーブルコイン決済プログラムにPolygonを統合し、24時間365日の清算体制を構築。
  • 銀行の営業スケジュールに依存しない決済フローにより、フィンテック企業の運転資本コストを削減。
  • Polygonは米ドル建てステーブルコイン送金の多くを担う実績があり、低コストかつ高速な決済インフラとして活用。
  • Visaのステーブルコイン決済プログラムは対応ネットワークを計9種類に広げ、年間決済規模は70億ドルに到達。
  • 従来の金融システムとブロックチェーンを融合させ、バックエンド業務の効率化を推進する動きとして業界への影響が注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用を専門とする編集チームです。Web3・ブロックチェーン領域に特化したコンサルティングファームである株式会社Pacific Metaが、国内外41カ国・150社以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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