ブロックチェーン分析企業アーカム(Arkham)の報告により、ブータン王国政府が保有するビットコインの売却を継続していることが明らかになりました。2026年に入り売却ペースが加速しており、現在の傾向が維持された場合、同国の保有残高は9月末までに枯渇する可能性があります。国家規模のビットコイン保有国として知られる同国の動向は、市場における供給側の動向として注目されています。
2026年の売却実績と保有残高の推移
アーカムが5月12日に公開したデータによると、ブータン政府は同日、保有ウォレットから100BTC(約810万ドル、約12億5550万円相当)を移動させました。これにより、2026年年初からの累計売却額は2億3039万ドル(約357億1045万円)に達しています。
同国は月平均で約5000万ドル相当のビットコインを売却しており、現在の残存保有量は約2億5200万ドル相当と見られます。このままのペースで売却が進んだ場合、9月末には保有残高がゼロになる計算です。ブータンのビットコイン保有は、国営投資会社のドゥルック・ホールディング・アンド・インベストメンツ(DHI)が管理しており、これまではシンガポールのQCPキャピタルなどを通じて売却が行われてきました。
マイニング事業の現状と国家プロジェクトへの影響
ブータンのビットコインは、国内の豊富な水力発電による余剰電力を活用したマイニング(採掘)によって蓄積されてきました。採掘コストが極めて低いため、これまでの売却益の大部分は純利益になると見られており、全保有分を現行価格で売却した際の累計利益は7億6700万ドル以上に達する見通しです。
しかし、直近1年以上、主要なウォレットへの大規模な入金が確認されていないことから、同国のマイニング事業が縮小または停止している可能性が指摘されています。2024年後半のピーク時には約1万3000BTCを保有していましたが、現在の残高は大幅に減少しています。この影響により、2024年12月に発表された「ゲレプー・マインドフルネス・シティ(ブータン南部の経済特区構想)」へ最大1万BTCを充当するという誓約の履行は、現在の保有水準では困難であると見られます。
ポイント
- ブータン政府は2026年に入り売却を加速させており、9月末にも保有残高が枯渇する可能性がある点で注目されます。
- 余剰水力発電を利用したマイニングにより、売却益の多くが国家の純利益となる構造が維持されてきました。
- かつては世界第7位のビットコイン保有国とされていましたが、現在は機関投資家の買いが続く市場における主要な売り手となっています。
- 保有量の減少に伴い、国家プロジェクトである「ゲレプー・マインドフルネス・シティ」への資金充当計画に影響が出る可能性が示唆されています。
- 過去1年以上にわたり大規模な入金がないことから、同国のマイニング事業そのものが停滞している可能性が推測されます。