ブロックチェーンのストレージソリューションを開発するXandeumは、プロバイダー自体が消滅してもデータの可用性を維持できるストレージプラットフォーム「Oxorro」をローンチしました。従来のストレージ製品は提供者の存続を前提として設計されていますが、Oxorroは提供者がいなくなる事態を想定した独自の設計思想を採用しています。このアプローチは、Web3におけるデータの永続性とインフラの信頼性を高める新たな手法として注目されます。
プロバイダーの消滅を前提とした独自の設計思想
Oxorroの最大の特徴は、サービス提供者であるプロバイダーが存続しなくなった場合でも、格納されたデータが引き続き利用可能であるという点にあります。一般的なストレージサービスは、顧客がデータを必要とする際に提供者が存在し続けていることを前提としています。しかし、Oxorroはこの常識を覆し、提供者が不在となるリスクを設計段階から織り込んでいます。
XandeumのCEOであるBernie Blume氏は、これを「停止することのない運用データ(Unstoppable Operational Data)」と表現しています。この設計は、2024年5月に発生したGoogle CloudによるUniSuperのデータ誤消去のような、中央集権的なプロバイダーの過失やポリシー変更、あるいは事業停止によってデータが失われるリスクへの対策として位置づけられています。
Solanaネットワークとの連携と技術的特徴
Oxorroは、Solana(ソラナ)ブロックチェーン向けの拡張可能なストレージレイヤーとして構築されています。技術的には、pNode(プロバイダーノード)と呼ばれる分散型のノードネットワークを活用しており、データは消失訂正符号(erasure coding)を用いて断片化され、複数のノードに分散して保存されます。
主な技術的特徴は以下の通りです。
- スマートコントラクトとの統合:Solanaのスマートコントラクトから直接データを操作できる仕組みを備えています。
- ランダムアクセス:従来の分散型ストレージの多くがファイル単位でのアクセスに限定されていたのに対し、Oxorroはファイルシステムのように任意のデータ箇所へ読み書きが可能です。
- 高い冗長性:データの複製(レプリカ)を最大17個まで設定でき、ネットワーク内の複数のノードが停止してもデータの復元が可能です。
Web3ビジネスにおける重要性と影響
Oxorroの登場は、データ集約型の分散型アプリケーション(dApps)の開発を加速させる可能性があります。これまでブロックチェーン上での大規模なデータ保存はコストや技術的な制約が課題となっていましたが、Oxorroは「ストレージ対応dApps(sedApps)」という新しいカテゴリーの実現を目指しています。
既存のファイルシステムに近いインターフェースを提供することで、開発者は従来のWeb2アプリケーションに近い感覚で分散型サービスを構築できるようになります。これにより、ソーシャルメディア、AIガバナンスツール、データ解析など、膨大なデータを扱う領域でのブロックチェーン活用が進むと見られます。
ポイント
- Xandeumが、プロバイダーの消滅を想定した設計のストレージプラットフォーム「Oxorro」をローンチしました。
- サービス提供者がいなくなってもデータへのアクセスを維持できる「永続性」を重視しています。
- Solanaブロックチェーンと統合されており、スマートコントラクトから直接大容量データの操作が可能です。
- pNode(プロバイダーノード)による分散管理と高い冗長性により、中央集権的なリスクを排除しています。
- データ集約型のdApps(sedApps)を実現するインフラとして、Web3のユースケース拡大に寄与すると見られます。