コインベース(Coinbase)が支援するステーブルコイン「USDC」が、分散型取引所(DEX)プロトコルであるHyperliquidのエコシステムにおいて、従来のUSDHに代わる主要資産として採用されました。この発表を受け、コインベースの株価とHyperliquidのネイティブトークン「HYPE」はともに上昇しています。中央集権的なステーブルコイン基盤とオンチェーンのデリバティブ市場の統合が一段と進む格好となりました。
ステーブルコイン基盤の刷新とコインベースの役割
Hyperliquidは、TVL(預かり資産)が50億ドルに達する、オンチェーンのデリバティブ市場で急成長中のプロトコルです。今回の提携により、コインベースはHyperliquidにおけるUSDCのトレジャリー(財務)運用を担う公式パートナーとなりました。
これまでHyperliquidのフレームワークで利用されていたステーブルコイン「USDH」は段階的に廃止されます。USDHの開発元であるNative Marketsは、コインベースがUSDH関連のブランド資産を取得する権利を認めることで合意しました。既存のUSDH保有者は、同通貨が廃止される間も手数料なしでUSDCまたは法定通貨に償還できる仕組みが整えられています。
市場の反応と規制環境の影響
提携の発表を受け、コインベースの株価(COIN)は一時5%上昇し、222ドルまで値を上げました。また、HyperliquidのネイティブトークンであるHYPEも最大約14%急騰し、45日ぶりの高値となる48ドル付近を記録しました。コインベースがHYPEの保有量を大幅に増やしたことを明らかにしたことも、買い材料視されたと見られます。
この背景には、米国のステーブルコイン規制法案である「CLARITY法案(ステーブルコインの規制枠組みを定める法案)」をめぐる前向きな議論も影響しているとされています。規制の明確化が進むとの期待から、米国の上場暗号資産関連株が全体的に上昇しました。一方で、サークル(Circle Internet Group)の株価は約2%下落しました。これは、利回りを生む米ドル建て資産へ資金が移動し、利回りを生まないステーブルコインから流動性が流出したことが背景にあると報じられています。
業界への影響と中央集権化への懸念
今回の統合は、Hyperliquid全体の流動性を一本化し、ブランド認知度の高いUSDCを導入することで、機関投資家にとって理解しやすいコンプライアンス(法令遵守)姿勢を整える狙いがあるとされています。コインベースは、今回の移行を世界のステーブルコイン市場を強化する取り組みであると位置づけています。
一方で、DeFi(分散型金融)のインフラがコインベースやサークルといった特定企業に関連するインフラに集中することに対し、本来の分散性を損なう「依存関係の深化」であるとの批判的な見方も出ています。予測市場のPolymarketでは、HYPEの価格が2026年5月中に50ドルを突破する確率が85%付近まで上昇しており、ステーブルコインの流動性強化が今後の成長を支えるとの期待がトレーダーの間で強まっています。
ポイント
- USDCがHyperliquidの主要ステーブルコインとなり、コインベースがその財務運用を担当する公式パートナーとなった。
- 規制の明確化を目的とした「CLARITY法案」への期待が、関連銘柄の株価上昇を後押しした。
- 50億ドル規模のDEXに伝統的金融の管理構造が導入されることで、機関投資家の参入が容易になる可能性がある。
- 特定の企業インフラへの依存が強まることに対し、DeFiの本来の目的である分散性が損なわれるとの懸念も指摘されている。
- 予測市場では、今回の提携を背景にHyperliquidのトークン価格がさらに上昇するとの見方が強まっている。