日本のオンライン証券最大手であるSBI証券と楽天証券が、個人投資家向けにビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)を対象とした投資信託を自社開発する方針を固めました。この動きは、これまで暗号資産取引所の口座開設やウォレット管理が必要だった国内の投資環境を大きく変え、既存の証券口座を通じた資産運用を可能にするものです。金融庁による規制整備が進む中、Web3のマスアダプション(大衆普及)に向けた重要な一歩として注目されています。
証券大手による垂直統合型の製品開発
SBI証券はグループ会社のSBIグローバルアセットマネジメントが開発する商品を販売する計画で、商品設計から運用、販売までをグループ内で完結させる体制を整えています。報道によると、同社はローンチから3年で運用資産残高5兆円を目指すとしています。
一方、楽天証券も楽天投信投資顧問と連携し、スマートフォンアプリを通じて手軽に取引できる商品の開発を進めています。両社ともに、ビットコインやイーサリアムといった流動性の高い資産を対象としており、投資家は技術的な障壁なしに暗号資産へのエクスポージャー(投資機会)を得られるようになります。投資信託(投資家から集めた資金を専門家が運用する金融商品)という形式をとることで、既存の株式や債券と同じ口座で管理できる点が大きな特徴です。
2028年に向けた規制と税制のロードマップ
この動きの背景には、日本政府による法整備の進展があります。金融庁は2028年までに投資信託法の施行令を改正し、暗号資産を投資信託が保有できる特定資産(法令で定められた投資対象)に追加する方針とされています。
また、2027年度には改正金融商品取引法の施行が予定されており、これに伴い暗号資産の税制も現在の最大55パーセントの総合課税から、株式や債券と同様の20パーセントの申告分離課税へと移行する見通しです。主要証券会社18社を対象とした調査では、11社がこれらの規制枠組みが整い次第、関連商品の提供を検討すると回答しており、野村証券や大和証券といった大手も参入の機会をうかがっています。
ポイント
- SBI証券と楽天証券が、自社グループ内でビットコインとイーサリアムの投資信託を開発・販売する方針を固めました。
- 既存の証券口座で取引が可能になるため、暗号資産取引所の口座開設や個人でのウォレット管理が不要になり、投資のハードルが下がります。
- 金融庁は2028年までに投資信託の対象資産に暗号資産を追加する規制改正を計画しており、法的な裏付けが進んでいます。
- 2027年度以降、税率が最大55パーセントから20パーセントの申告分離課税へ変更される見通しであり、個人投資家の参入を後押しすると見られます。
- 業界全体で参入意欲が高まっており、規制の進展に合わせて日本の金融市場における暗号資産の存在感が高まる可能性があります。