米SECがトークン化株式の規制免除を準備、市場規模は14億ドルを突破

米証券取引委員会(SEC)が、上場企業の株式をデジタル化した「トークン化株式」の取引を促進するための新たな枠組み「イノベーション免除」の公開を準備していることが明らかになりました。オンチェーン上のトークン化株式市場が14億ドルを超える規模に成長する中、この動きは従来の証券市場の規制環境における大きな転換点になると見られています。ブロックチェーン技術を活用した資本市場のデジタル化が、規制面からも加速する兆しを見せています。

新たな規制枠組み「イノベーション免除」の導入

米SECがトークン化株式の規制免除を準備、市場規模は14億ドルを突破

SECが進めている「イノベーション免除(Innovation Exemption)」は、パブリック企業の株式をデジタル形式で取引するための道を開くためのものです。この枠組みにより、暗号資産ネイティブなプラットフォームが、従来の証券会社や取引所としての完全な登録を経ずに、特定の条件下でトークン化株式を提供できるようになる可能性があります。

この免除規定は、早ければ2026年5月中にも公開される可能性があると報じられています。現職のポール・アトキンス委員長のもとで進められているこの計画は、ブロックチェーン上での取引システムや決済インフラを現代の資本市場に適応させるための取り組みの一環とされています。

第三者によるトークン発行と市場への影響

今回の枠組みで特に注目されているのは、対象となる株式を発行している企業の裏付けや同意を得ることなく、第三者が株価を追跡するトークンを組成・取引することを許可する可能性がある点です。これは、発行体の管理下で進められてきた従来のトークン化のプロセスとは大きく異なる方針転換を意味します。

こうした第三者によるトークン化株式は、オンチェーン上で従来の株式市場と並行する「パラレルマーケット」を形成する可能性があります。ただし、これらのトークンには配当や議決権といった従来の株主権利が含まれない場合があるため、SECは投資家保護の観点から、権利が欠如しているプラットフォームに対して一定の制限を課すことも検討している模様です。

急成長するトークン化資産市場の現状

トークン化された現実資産(RWA)の市場は、現在急速な拡大を見せています。オンチェーンにおけるトークン化株式の市場規模は14億ドルを突破しており、1年前の約5億1,100万ドルから約180%の成長を記録しています。

この背景には、24時間365日の取引可能性や、従来のシステム(T+1など)よりも迅速な即時決済といったブロックチェーン技術の利点があります。2026年に入り、ナスダック(Nasdaq)やニューヨーク証券取引所(NYSE)もトークン化資産の取引に関する承認を得るなど、伝統的な金融機関によるブロックチェーン採用の動きも活発化しています。今回のSECによる規制緩和の動きは、こうした市場の成長をさらに後押しするものと見られます。

ポイント

  • SECがトークン化株式の取引を柔軟にする「イノベーション免除」規定を準備している
  • 発行企業の同意なしに株価を追跡する第三者トークンの流通が認められる可能性がある
  • オンチェーンのトークン化株式市場は14億ドルを超え、前年比で大幅な成長を遂げている
  • 従来の証券会社としての登録を一部免除することで、Web3企業の参入障壁が下がる可能性がある
  • 24時間取引や即時決済など、ブロックチェーンによる市場効率化の検証が進む点で注目されます

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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