アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が公開した最新の家計調査報告書により、2025年にアメリカ成人の約10%が暗号資産(仮想通貨)を利用または投資したことが明らかになりました。これは2022年以来、3年ぶりの高水準となります。利用目的としては投資が圧倒的な主流を占めていますが、銀行口座を持たない層による決済利用など、特定の層での活用も確認されています。
投資目的の保有が主流、決済利用は2%にとどまる
報告書によると、2025年に暗号資産を何らかの形で利用した層は、前年から増加して約10%に達しました。これは2021年に記録した過去最高の12%には及ばないものの、市場の普及が再び進んでいることを示しています。
利用形態の詳細を見ると、成人全体の約10人に1人が投資目的で暗号資産を保有しており、これが利用者の中心となっています。一方で、決済や送金といった「金融取引」のために利用した層は2%にとどまりました。アメリカ市場において、暗号資産は依然として実用的な決済手段よりも、投資資産としての地位を優先的に固めている状況といえます。
決済利用の動機と銀行口座未保有層への普及
決済目的で暗号資産を利用した層に対し、その理由を尋ねた調査では、純粋な利便性が支持されている実態が浮き彫りになりました。最も多かった理由は「送金先の個人や企業が暗号資産での受け取りを希望したから(26%)」であり、次いで「送金スピードの速さ(19%)」、「プライバシー(17%)」、「コスト(14%)」と続いています。
一方で、「既存金融への不信」や「銀行より安全」といった理由を挙げた層は1割に満たず、既存システムへの対抗手段というよりも、特定のニーズを満たすための実務的な選択肢として機能していると見られます。
また、属性別のデータでは、銀行口座を持たない層の6%が決済で暗号資産を利用していることが分かりました。これは銀行口座を保有している層の利用率(2%)を大きく上回っており、既存の金融サービスにアクセスできない、あるいは利用しない層にとって、暗号資産が代替的な金融手段として活用されている可能性が考えられます。
規制整備の進展と今後の影響
今回の調査結果からは、アメリカにおける暗号資産が投資資産として着実に定着していることが示されました。決済手段としての普及は現時点では限定的ですが、背景には規制環境の変化もあります。
具体的には、GENIUS法(暗号資産に関連する規制整備を目的とした法律と見られます)の成立など、法的枠組みの整備が進んでいます。こうした規制の明確化が、現在は投資に偏っている利用形態に今後どのような変化をもたらすかが、業界にとっての注目点となります。
ポイント
- 2025年のアメリカ成人の暗号資産利用率は約10%となり、2022年以来の高水準を記録しました。
- 利用形態は投資目的の保有が中心であり、決済や送金での利用は成人全体の2%にとどまっています。
- 決済利用の主な理由は、送金先の要望や送金スピードの速さといった実務上の利便性です。
- 銀行口座を持たない層の決済利用率が比較的高く、金融包摂の観点から一定の役割を果たしている可能性があります。
- GENIUS法の成立など規制整備が進んでおり、今後の決済利用の動向に影響を与えるか注目されます。