米商品先物取引委員会(CFTC)は、予測市場を州内で禁止する新法をめぐり、ミネソタ州、ティム・ウォルズ(Tim Walz)知事、複数の州当局者を相手取り訴訟を起こしました。ウォルズ知事が包括的法案「SF 4760」に署名した翌日に提起されたこの訴訟は、連邦規制と州規制のどちらが予測市場の監督権を持つかを問うものです。本出来事は、成長するWeb3や予測市場業界にとって、今後の法的な位置づけや事業継続性に直結する極めて重要な動きとなります。
ミネソタ州の全面禁止法とCFTCの即時提訴
ミネソタ州のティム・ウォルズ知事が署名した包括的法案「SF 4760」は、スポーツ、天候、企業価値、政府関連の出来事など、将来の結果に基づいて取引を行う予測市場を州内で全面的に禁止する内容となっています。この法律は2026年8月1日に施行される予定で、米国で初めて予測市場を明示的に全面禁止する州法とされています。
この新法に対し、CFTCは署名から24時間以内に、州内での禁止措置の差し止めを求める訴訟を提起しました。CFTCは、予測市場で取引される商品は、CFTCが承認した取引所で取引される連邦規制対象の「スワップ」(異なるキャッシュフローを交換する金融派生商品の一種とされています)であり、州政府がこれらを独自に犯罪化したり禁止したりする権限はないと主張しています。
重罪化による広範な影響と懸念
ミネソタ州の新法は、予測市場の運営やその運営支援を重罪化する点を特徴としており、CFTCはこれを特に問題視しています。マイケル・S・セリグ(Michael S. Selig)CFTC委員長は、この法律が合法的な予測市場の運営者や参加者を一夜にして重罪犯にするものであると批判しました。
また、訴状では同法の対象が極めて広く、予測市場事業者だけでなく、以下のような関連組織にも刑事責任が及ぶ可能性が指摘されています。
- 銀行や決済処理業者
- メディア企業(フォックス、ダウ・ジョーンズ、ウォール・ストリート・ジャーナルなど)
- スポーツリーグ(米大リーグ、北米プロアイスホッケーリーグなど)
さらに、有数の農業州であるミネソタ州において、農家が天候や作物関連のイベント契約をリスクヘッジ(価格変動などのリスクを回避・軽減する取引手法とされています)の手段として長年利用してきた実績があることから、新法がこれらの実需層に与える悪影響についても懸念が示されています。
連邦と州による管轄権争いの背景
今回の提訴は、州の賭博規制当局と、カルシ(Kalshi)やポリマーケット(Polymarket)といった連邦規制下の予測市場プラットフォームとの間での、管轄権を巡る対立の激化を象徴しています。
CFTCはミネソタ州だけでなく、これまでにイリノイ州、アリゾナ州、コネチカット州、ニューヨーク州、ウィスコンシン州に対しても、予測市場への州規制に異議を唱える訴訟を起こしてきました。このうちアリゾナ州では、連邦裁判所が州による刑事訴追を一時的に差し止める判断を下しており、今後の司法判断の行方が業界全体に大きな影響を与える可能性があります。
ポイント
- ミネソタ州のティム・ウォルズ知事が、全米初となる予測市場の全面禁止法案「SF 4760」に署名し、2026年8月1日の施行を予定しています。
- 米CFTCは、予測市場が連邦規制下のデリバティブ市場に該当するとして、不当な州規制の差し止めを求める訴訟を即座に提起しました。
- 新法は運営だけでなく支援行為も重罪化するため、提携するメディア、スポーツリーグ、決済業者など広範囲に刑事責任が及ぶ懸念が指摘されています。
- カルシやポリマーケットといった予測市場プラットフォームの監督権を巡り、連邦機関であるCFTCと各州政府との管轄権争いが一層激化しています。