デジタルアセット分野における100億ドル規模の銀行取り付け騒ぎ(デジタルバンクラン)が発生したのちも、DeFi(分散型金融)の預金者が戻らない状況が続いています。この背景には、伝統的な金融商品である3ヶ月ものの米財務省短期証券(T-bill)の利回りがDeFiの利回りを上回っている状況があるとされています。スマートコントラクトのリスクを伴うDeFiよりも安全性の高い伝統的金融資産へ資金が滞留している事実は、今後のWeb3業界の流動性環境において極めて重要です。
100億ドル規模のデジタル銀行取り付け騒ぎと預金者の流出
デジタルアセットの分野において、100億ドルに達する大規模な銀行取り付け騒ぎ(信用不安などから預金者が一斉に資金を引き出す現象)が発生しました。この混乱が収束した後も、DeFi(ブロックチェーン上で仲介者を介さずにスマートコントラクトによって実行される金融サービス)のプロトコルに資金を預けていたユーザー(預金者)の多くが戻っていないとされています。資金流出後のDeFi市場において、流動性の回復が遅れている現状が浮き彫りとなっています。
米3ヶ月国債(T-bill)との利回り差が与える影響
DeFi預金者が戻らない主な要因として、3ヶ月ものの米財務省短期証券(T-bills:米国政府が発行する満期3ヶ月の短期国債で、伝統的金融において安全性の高い資産とされています)の利回りが、DeFiプロトコルの提供する利回りを上回っている点(yielding more)が挙げられます。
かつては高利回りを強みとして資金を集めていたDeFiですが、米国の金利上昇に伴い、リスクの低い伝統的な国債の方が魅力的な利回りを提供する状況となっています。この結果、投資家はスマートコントラクトのバグやハッキングなどのリスクを伴うDeFiよりも、安全とされるT-billsへ資金をシフトさせていると見られます。
ポイント
- 100億ドル規模のデジタル銀行取り付け騒ぎが発生した後も、DeFiの預金者が戻っていない状況が続いています。
- 3ヶ月ものの米財務省短期証券(T-bills)の利回りがDeFiの利回りを上回っており、資金流出の要因となっている点で注目されます。
- リスクの低い伝統的金融商品の方が高い利回りを提供する「利回りの逆転」が、Web3業界における資金調達や流動性維持の大きな課題になっていると見られます。