アメリカのワシントン州キング郡上級裁判所は、予測市場プラットフォームを運営するKalshi(カルシ)に対し、州政府が申し立てていた仮差し止め命令を認めました。裁判所は、Kalshiが提供するスポーツ予測市場の取引契約が、州の賭博法に違反する違法なギャンブル活動にあたると判断しています。この決定は、連邦規制と州法による規制のどちらが予測市場に優先して適用されるかという、業界の管轄権をめぐる議論において重要な局面を迎えたことを示しています。
決定の内容と今後のスケジュール
キング郡上級裁判所のジョン・マクヘイル判事は、Kalshiがワシントン州の消費者に対して違法なギャンブル活動を提供し、プラットフォーム上で賭けを勧誘しているとの判断を下しました。この決定により州側の申し立てが認められたものの、仮差し止め命令は早くとも2026年8月5日までは発効しないとされています。裁判所は、8月3日までにKalshiとワシントン州の双方から、差し止めの具体的な条件などに関する追加の資料提出を求め、その内容をさらに検討する予定です。
連邦法と州法の管轄権をめぐる対立
Kalshiは、連邦商品先物取引委員会(CFTC)から指定契約市場(DCM)としての認可を受けたプラットフォームです。同社は、提供する取引契約が連邦法である商品取引法(CEA)のもとで規制されるデリバティブ(スワップ取引)に該当するため、州の賭博法よりも連邦法が優先して適用される(連邦法の優先)と主張してきました。しかし、今回の判決でマクヘイル判事は、商品取引法はワシントン州の賭博法を優先するものではなく、Kalshiは連邦と州の双方の規制を遵守することが可能であるとして、同社の主張を退けました。
予測市場業界へのビジネス上の影響
この決定は、米国内における予測市場の今後のビジネス展開に大きな影響を与える可能性があります。Kalshiはすでにミシガン州やネバダ州などでも同様に、州の賭博法を理由としたスポーツイベント関連契約の差し止めや制限に直面しています。複数の州で同様の司法判断が下された場合、予測市場プラットフォームは州ごとにアクセスを制限する(ジオフェンシング)などの対応を迫られることになります。これにより、米国内でのサービス提供が地域ごとに分断され、市場全体の流動性やユーザーのアクセスが制限されるリスクが指摘されています。
ポイント
- ワシントン州の裁判所は、Kalshiのスポーツ予測市場を州の賭博法に違反する違法なギャンブル活動と判断し、仮差し止め命令を認めました。
- 裁判所は、連邦法である商品取引法が州の賭博法を優先するものではないとし、Kalshi側の主張を退けました。
- この仮差し止め命令は早くとも2026年8月5日までは発効せず、裁判所は8月3日までに双方から提出される追加資料を検討する予定です。
- 連邦規制のデリバティブか、州法で禁止されるギャンブルかという管轄権の争いは、今後の予測市場の法的地位を左右する重要な問題として注目されます。
- 同様の差し止めが他州でも相次ぐ場合、プラットフォーム側は地域的なアクセス制限を余儀なくされ、ビジネスの分断につながる可能性があります。