Zcashの新たなフルノード「Zakura」が公開、7月28日のアップグレード「アイアンウッド」対応へ

暗号資産Zcash(ジーキャッシュ)向けの新しい独立系フルノードクライアント「ザクラ(Zakura)」バージョン1.0.0が、7月15日に公開されました。このリリースは、Zcashネットワークが直面するセキュリティ課題への対応と、将来的なスケーラビリティ向上を目指す上で重要な節目となります。Zcashでは、過去にシールドプールで発見された脆弱性に対応するため、7月28日ごろにネットワークアップグレード「アイアンウッド(Ironwood/NU6.3)」の発動を控えており、ノード運営者には対応ソフトウェアへの移行が求められています。

独立系フルノード「Zakura」の公開と高速同期の実現

Zcashの新たなフルノード「Zakura」が公開、7月28日のアップグレード「アイアンウッド」対応へ

ザクラは、ジーキャッシュ財団(Zcash Foundation)が開発するフルノード実装「ゼブラ(Zebra)」バージョン5.0.0からフォークし、財団から独立して運用されるクライアントです。開発には、Zcashの共同創業者でプロジェクト・タキオン(Project Tachyon)を率いるショーン・ボウ(Sean Bowe)氏や、コスモス(Cosmos)系DEXオズモシス(Osmosis)の共同創業者でヴァラー・グループ(Valar Group)を率いるデヴ・オジャ(Dev Ojha)氏らが関わっています。

開発チームのベンチマークによると、ザクラのメインネット同期時間は約4時間20分であり、ゼブラの約20時間46分と比較して約4.8倍の高速化を達成しました。また、プルーニング(不要な過去データの削減)済みのスナップショットを利用することで、約1分50秒での迅速なノード起動(ブートストラップ)が可能とされています。さらに、旧クライアント「zcashd」のRPC(遠隔手続き呼出し)との互換モードも実装されており、既存のウォレットや取引所、マイニングプールなどの移行を円滑にする設計となっています。

旧クライアント「zcashd」の自動停止とアップグレード「アイアンウッド」の背景

Zcashの公式クライアントであったzcashdは、日本時間の7月19日(協定世界時7月18日)、ブロック高3,417,100への到達に伴い自動停止しました。zcashdは7月28日ごろに予定されているアップグレード「アイアンウッド(NU6.3)」に対応しないため、ノード運営者はゼブラ(バージョン6.0.0以降)やザクラ(バージョン1.0.0以降)などの対応済みクライアントへ移行する必要があります。

このアップグレードが必要となった背景には、5月29日にZcashのシールドプール(送金額や送受信者を秘匿して資金を移転する領域)である「オーチャード(Orchard)」の暗号回路で、偽造脆弱性が発見されたことがあります。この脆弱性は、悪用された場合に公開台帳上で判別できない形で偽造ZECを生成できる重大なものでした。脆弱性はすでに修正されていますが、取引金額が非公開であるため、実際に過去に悪用されたかどうかを確定することはできません。ただし、これまでのところ悪用を示す証拠は確認されておらず、悪用の可能性は低いと見られています。

供給量の自律検証と「ターンスタイル」の導入

7月28日ごろ(ブロック高3,428,143)に発動予定のアイアンウッド(NU6.3)では、資金の供給量を各利用者が独立して検証可能にする仕組みが導入されます。

アップグレード発動後、旧オーチャードでの新たな受け取りやプール内送金につながる出力の作成が停止されます。ユーザーの保有資金は「ターンスタイル(回転式改札口)」と呼ばれる会計機構を通じて、新たなシールドプールであるアイアンウッドなどへ移動することになります。

ターンスタイルでは、旧オーチャードから流出できるZECの総量が、これまでに正規に流入した量を超えないよう上限が設定されます。これにより、仮に過去に偽造が行われていた場合でも、正規の供給量を超えるZECが市場に流通することを防ぐことができます。ただし、この仕組みは正規資金と偽造資金を個別に識別するものではないため、万が一先に偽造資金が移動された場合、後から移行しようとする正規ユーザーの資金が移動できなくなるリスクは残されています。なお、透明アドレスや旧世代のシールドプール「サプリング(Sapling)」などに資金を保有するユーザーは、移行操作を行う必要はありません。

長期的なスケーラビリティ向上への展望

ザクラの開発チームは、Zcashが世界規模のプライベート決済を支えるための長期目標として、毎秒5万件(5万TPS)を超える処理能力の実現を掲げています。

現時点でザクラ自体がこの処理能力を有しているわけではありませんが、今後のノード性能向上に加え、プロジェクト・タキオンやヴァラー・グループが進める暗号技術の刷新、およびウォレット基盤の再構築を通じて、この目標の達成を目指すとしています。

ポイント

  • Zcash向けの新たな独立系フルノード「ザクラ」が公開され、従来のゼブラに比べ約4.8倍高速な同期速度を実現しました。
  • 旧公式クライアントである「zcashd」が7月19日(日本時間)に自動停止したため、ノード運営者はザクラやゼブラなどの対応ノードへの移行が必須となっています。
  • 7月28日ごろに予定されているアップグレード「アイアンウッド(NU6.3)」により、オーチャードで発見された偽造脆弱性への対応が行われます。
  • 新たに導入される「ターンスタイル」機構により、仮に偽造ZECが存在した場合でも、正規の供給量を超える流通を未然に防ぎ、通貨の健全性を検証可能にします。
  • 開発チームは、プライベート決済の普及に向け、将来的に毎秒5万件以上のトランザクション処理(5万TPS)を目指す長期計画を示しています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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