イーサリアムL2「Aztec」がアルファ版V5をローンチ プライベート実行環境の追加と処理コストの半減を実現

イーサリアムの分散型プライバシーレイヤー2(L2)ソリューションであるAztecは、アルファ版「V5」へのアップグレードをメインネットでローンチしました。この最新リリースでは、完全なプライベート実行環境が追加され、スマートフォンやノートパソコンなどの一般的なデバイスで計算負荷の高いゼロ知識証明を生成する「クライアントサイド・プルービング」のサポートに焦点が当てられています。前バージョンのV4と比較して、証明時間とトランザクションコストが大幅に削減されており、プライバシーを重視したWeb3アプリケーションの実用性が高まると見られます。最初の対応アプリケーションとして「Nyx」ウォレットがすでに稼働を開始しています。

クライアントサイドでの証明生成によるプライバシー保護の強化

イーサリアムL2「Aztec」がアルファ版V5をローンチ プライベート実行環境の追加と処理コストの半減を実現

今回のV5アップグレードにおける最大の特徴は、クライアントサイド・プルービング(ユーザーの端末側での証明生成)のサポートです。これにより、スマートフォンやノートパソコンといった比較的シンプルなデバイスであっても、計算負荷の高いゼロ知識証明(ZK proofs)をローカル環境で実行できるようになります。

従来のパブリックなブロックチェーンでは、すべてのトランザクションデータがネットワーク全体に公開されて処理されます。これに対し、Aztecのプライベート実行環境では、取引の計算をユーザーのデバイス上で行い、暗号化された証明のみをオンチェーンで検証します。これにより、第三者に取引内容や資産残高を知られることなく、安全に取引を実行することが可能になるとされています。

処理速度の向上と大幅なコスト削減

Aztecの開発チームによると、V5は前バージョンのV4と比較して、証明時間とトランザクションコストを約50パーセント削減(半減)することに成功しました。

具体的なパフォーマンスの向上として、一般的なノートパソコンにおけるプライベート送金の証明時間は約2.5秒に短縮され、完全なプライベートトークン転送の手数料は0.05ドル未満に抑えられるとされています。また、イーサリアム上でのロールアップ証明の検証コストも約40パーセント削減され、ブロック生成時間は従来の14秒から6秒に短縮されたと報じられています。なお、今回のアップグレードは、トークンホルダーによるガバナンス投票での承認を経て、オンチェーンで実行されました。

初期の対応アプリケーションとユースケース

V5のローンチに伴い、プライバシー技術を活用した具体的なアプリケーションの提供も始まっています。

最初のライブアプリとして稼働しているのは、ウォレットプロジェクトの「Nyx」です。ユーザーはNyxウォレットを通じて、DeFi(分散型金融)プロトコルであるAaveを利用し、プライベートに利回り(イールド)を獲得することが可能であるとされています。さらに、イーサリアムとAztecネットワークを繋ぐプライバシーブリッジとして、「Shield」や「TRAIN」といったプロジェクトも提供されていると報じられています。

ポイント

  • イーサリアムのプライバシーレイヤー2であるAztecがアルファ版V5にアップグレードされ、完全なプライベート実行環境が追加された点
  • スマートフォンや一般的なノートパソコンなどのデバイス上でゼロ知識証明を生成する「クライアントサイド・プルービング」がサポートされた点
  • 前バージョンのV4と比較して、証明時間とトランザクションコストが約50パーセント削減され、処理の高速化と低コスト化が実現した点
  • 最初の対応アプリケーションとして「Nyx」ウォレットが稼働し、プライベートなDeFi運用などの実用例が示されている点

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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