カザフスタン政府が大規模マイナー向けの新規則を承認 採掘収益の10%を国家準備金へ積み立てる仕組みを構築

カザフスタン政府は、発電容量150MW以上の大規模な暗号資産マイニング事業者を対象とした「戦略的デジタルマイニング実施規則」を承認しました。事業者は長期的な電力供給を確保する見返りとして、コスト控除後の採掘収益の10%に相当する仮想通貨を毎月無償で国側に引き渡す義務を負います。上納された資産は国立銀行傘下の公社で管理され、国家戦略仮想通貨準備金の原資として積み立てられる予定です。自国の電力資源を活用しながら国家予算の負担なしで暗号資産保有量を拡大する新たな制度設計として注目されます。

10年間の固定電力供給とコスト控除後の10%上納枠組み

カザフスタン政府が大規模マイナー向けの新規則を承認 採掘収益の10%を国家準備金へ積み立てる仕組みを構築

カザフスタン政府が7月18日付で決定した新規則は、自社データセンターの発電容量が150MW以上となる大規模事業者を対象としています。承認を受けたマイナーは、国内のエキバストゥズ火力発電所から最大300MWの割当電力を、上限価格の範囲内で10年間の固定価格契約により長期的に確保することが可能です。施行日については政令文書上で8月1日、報道により7月28日とされるなど、順次運用が開始される見通しです。

この電力供給の枠組みの対価として、事業者は毎月採掘した仮想通貨の一部を自律クラスター基金であるアスタナ・ハブへ引き渡す必要があります。引き渡す資産の算定にあたっては、採掘価値から電力の購入費用、送電費、出力調整(バランシング)費用、国家電力網の利用料などの各種コストが差し引かれます。その差額分の10%が上納対象となり、事業者は代金や見返りを求めずにこれを無償提供する仕組みとなっています。

データ照合による厳格な管理と国家仮想通貨準備金への活用

仮想通貨の引き渡しは毎月発生し、翌月25日までに完了することが規定されています。管理を担当するアスタナ・ハブは、事業者側の報告内容についてマイニングプールの実績データやブロックチェーン上の取引記録と照合する権限を持っています。照合の過程で不足が発覚した場合は30日以内の補填が義務付けられる一方、過払いが生じた際は翌月分との相殺が認められています。

引き渡された仮想通貨は、カザフスタン国立銀行傘下の国家投資公社による信託管理のもと、国家戦略仮想通貨準備金として積み立てられます。同国は6月に国家戦略仮想通貨準備金の設立方針を発表しており、今回の規則運用により、財政支出を伴うことなく国家レベルでの仮想通貨保有量を積み上げていく狙いがあると考えられます。

ポイント

  • 発電容量150MW以上の大規模マイナーに対し、10年間の電力固定価格契約を提供する対価としてコスト控除後収益の10%の上納を義務付けた点で注目されます。
  • アスタナ・ハブがマイニングプールの実績データやブロックチェーンの記録と照合し、過不足の補填を求める管理体制が構築された点で注目されます。
  • 上納された資産を国立銀行傘下の公社が管理し、国家予算を使わずに国家戦略仮想通貨準備金を増強する制度設計である点で注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

ビジネスでの活用から個人の学びまで、ブロックチェーンやトークンに関する情報を、最新動向と実務でのナレッジを踏まえてわかりやすくお届けします。編集部や事業内容の詳細は、公式サイトをご覧ください。

ニュース
ブロックチェーンマガジン by Pacific Meta