TISIと米ファイアブロックスが認定リセラー契約を締結、国内金融機関向けにデジタル資産基盤を提供へ

TISIと米ファイアブロックスが認定リセラー契約を締結、国内金融機関向けにデジタル資産基盤を提供へ

TISIは、デジタル資産インフラを提供する米ファイアブロックス(Fireblocks)と認定リセラー契約を締結したと7月31日に発表しました。銀行向けシステム構築を手がけるシステムインテグレーター(SIer)が同社の認定リセラーとなるのは国内初となります。両社は金融機関におけるステーブルコインや現実資産のトークン化をはじめとする「オンチェーン金融」に向け、ウォレット基盤の導入や運用を支援します。日本の法規制や商慣習に即したサポート体制を整えることで、2028年度までに国内金融機関10行への導入を目指す方針です。

リセラー契約の概要とTISIが担う役割

TISIと米ファイアブロックスが認定リセラー契約を締結、国内金融機関向けにデジタル資産基盤を提供へ

TISIは、国内ITサービス大手のTISが完全子会社のインテックを7月1日付で吸収合併し、商号変更して発足した企業です。金融機関向けシステムの開発や導入において実績を持っています。

今回の認定リセラー契約に基づき、TISIは国内金融機関向けにファイアブロックス製品の販売から導入支援、運用および保守までを一貫して提供します。顧客ごとの要件に応じたライセンスやシステム構成の提案、運用設計にも対応する体制を整えています。

海外ベンダーとの直接契約においては、契約手続きや信用調査、サポート体制の差異が日本企業にとっての課題になりがちです。TISIが日本の商慣習に即したプロセスを提供することで、これらの負担が軽減されるとともに、国内の法規制や金融機関に求められる監査・内部管理上の要件に沿ったスムーズなシステム構築が可能になると見られます。

ファイアブロックスの技術特性と実績

ファイアブロックスは、暗号資産を含むデジタル資産の保管、移転、発行、トークン化などを手がける企業向けインフラプロバイダーです。同社の基盤は、秘密鍵を分散して管理するマルチパーティ計算(MPC)技術などを採用しており、単一障害点を抑えた安全性の高いウォレット環境を構築できる点が特徴とされています。

グローバル市場では、ワールドペイ(Worldpay)、BNY、ギャラクシー(Galaxy)、レボリュート(Revolut)など数千の組織に導入されており、150を超えるブロックチェーン上で14兆ドル以上のデジタル資産取引の安全性を確保してきた実績があります。

また、TISI自身も従来からステーブルコインやセキュリティトークンの発行・管理を支援する「マルチトークンプラットフォーム」においてファイアブロックスの基盤を活用してきました。同プラットフォームはアバランチ(Avalanche)をベースとし、EVM対応のスマートコントラクトと鍵管理基盤を組み合わせることで、金融資産のトークン化に必要な機能を提供しています。

国内金融機関の課題解決と今後の展望

近年、国内の金融機関ではステーブルコインやトークン化預金といった取り組みが広がっています。一方で、これらを実用化する際には、金融機関に求められる高い監査・内部管理水準を満たす鍵管理やウォレット管理の実現が導入上の課題となっていました。

金融システム構築に精通した国内SIerがファイアブロックスの基盤と一貫した運用サポートを提供することで、金融機関が求めるセキュリティ基準とコンプライアンス要件を両立したシステム導入が進むと期待されます。

両社は2028年度までに国内金融機関10行への導入を目標として掲げています。さらに今後は、金融機関にとどまらず、一般事業会社によるオンチェーン金融の活用拡大にも対応していく方針を示しています。

ポイント

  • 金融機関向けSIerとして国内で初めて、TISIが米ファイアブロックスの認定リセラー契約を締結した点で注目されます。
  • 秘密鍵を分散管理するMPC技術を備えたウォレット基盤を、国内の法規制や監査要件に適合させる形で導入支援する仕組みが整えられます。
  • 海外企業との直接契約で生じやすい手続きやサポート面での負担軽減につながると見られます。
  • スステーブルコインやトークン化預金の安全な運用を支え、2028年度までに国内金融機関10行への導入を目指しています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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