金融機関などによるイーサリアムの導入を支援する非営利団体「イーサリアム・インスティテューショナル」が、初回の資金調達ラウンドを完了したと発表しました。あわせて、主要なブロックチェーン企業やプロジェクトなど100を超える支援者ネットワークを立ち上げ、活動基盤を整えました。イーサリアム財団から独立した同団体は、中立的な窓口として金融機関とエコシステム間の調整を担い、オンチェーン金融の普及を加速させる狙いがあります。
イーサリアム財団からの独立と設立の背景
イーサリアム・インスティテューショナルは、イーサリアム財団のエンタープライズチームが担ってきた金融機関向け活動を引き継ぎ、拡大させる形で2026年7月1日に独立した非営利団体として正式始動しました。単一の中央管理主体が存在しないイーサリアムにおいて、金融機関が導入を検討する際、エコシステムを偏りなく案内する中立的な窓口や事業者との調整役が求められていたことが設立の背景にあります。
イーサリアム財団が2026年6月に実施した組織再編(全体約20%にあたる54人の人員削減)の前後には、元メンバーらによる独立組織の設立が相次いでいます。コアプロトコルの技術研究開発を担う「イースラボ(Ethlabs)」や、金融機関向けプライバシー・コンプライアンス技術を開発する「イーサシステムズ(EthSystems)」とともに、それぞれの専門領域に特化した活動が展開されています。
100超の参画者による支援体制と日本関連プロジェクト
今回の資金調達では、イーサリアムを主要な財務資産とするビットマイン・イマージョン・テクノロジーズとシャープリンクに加え、イーサリアム共同創設者のジョセフ・ルービン氏とミハイ・アリシー氏が中核支援者として参画しました。なお、資金調達額や個別の出資額は公表されていません。
資金提供にとどまらず、専門知識や情報発信などを通じて活動を支える支援者ネットワークには100を超える企業や団体が参加しています。主な参加者には、アーベ、サークル、チェーンリンク、ユニスワップ・ラボ、セキュリタイズ、ロビンフッドなどが名を連ねています。日本に関連する取り組みとしては、ソニーグループ傘下のソニーブロックソリューションラボが開発するイーサリアムのレイヤー2(処理能力向上や手数料低減を目的とした拡張ネットワーク)「ソニューム」や、Web3企業のスターテイル・グループが参加しています。
機関支援の対象領域と活動方針
イーサリアム・インスティテューショナルは、銀行、資産運用会社、カストディアン(顧客資産の保管・管理事業者)、市場インフラ事業者、フィンテック企業、政府系機関との直接的な連携を加速させる方針です。
具体的には、イーサリアムおよびレイヤー2を対象に、トークン化、ステーブルコイン、担保、市場インフラ、オンチェーン清算に関する取り組みを進めます。さらに、機関投資家向けの教育や市場インテリジェンスの提供、マーケティング、業界ニーズの把握、機関関係者向け会合の開催などを通じて、持続的な活動基盤の確立を目指します。
ポイント
- 金融機関によるイーサリアム導入支援に特化した非営利団体「イーサリアム・インスティテューショナル」が初回資金調達を完了しました。
- イーサリアム財団のエンタープライズチームから独立し、特定企業に偏らない中立的な窓口として機関投資家とエコシステムを繋ぐ役割を果たします。
- 支援者ネットワークには100を超える企業・団体が参画し、日本からはレイヤー2の「ソニューム」やスターテイル・グループが名を連ねています。
- トークン化やステーブルコイン、オンチェーン清算など、金融機関が必要とする具体的ユースケースの実現に向けて取り組みが進められます。
- 財団の組織再編に伴い発足した「イースラボ」や「イーサシステムズ」とともに、エコシステムの機能分散と専門化が進む点で注目されます。