金融庁は2027年度(令和9年度)予算の概算要求において、施策「デジタル技術を用いた金融サービスの変革への対応」に前年度当初予算の約15倍となる13億2,765万円を計上しました。主な使途としてオンチェーン金融の利活用や、デジタル決済と連携した決済システムの構築促進などが掲げられています。さらに、暗号資産取引業者や電子決済手段等取引業者の監督強化、先端AIのリスク対応に向けた13人の増員も求めています。法改正や税制見直しが進む中、Web3インフラの社会実装を後押しする予算措置として注目されます。
株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。
オンチェーン金融の利活用と次世代決済基盤の構築支援
今回の概算要求におけるデジタル金融施策の計上額は13億2,765万円となり、2026年度当初予算の8,822万3,000円から約12億3,943万円増加し、伸び率は約1,405パーセントとなりました。これまでの当初予算は2023年度の6,900万円から2026年度の8,822万円まで1億円未満で推移していましたが、総額48億円の「強い経済を実現する成長投資の促進」の柱の一つとして大幅に拡充されています。
金融庁が主な使途として掲げているのは、ブロックチェーン上で資産の発行や移転、決済などを行うオンチェーン金融の利活用と、デジタル決済と連携した決済システムの構築促進です。具体的な支援対象には、3メガバンクによる円建てステーブルコインの共同発行およびクロスボーダー送金への活用、トークン化預金の銀行間移転、トークン化された証券と決済の同時処理などが含まれています。また、Fintech実証実験ハブ内の決済高度化プロジェクトでは、トレードワルツやNTTデータ、みずほ銀行など6社による貿易決済でのステーブルコイン活用実証が支援案件に採択されています。
暗号資産や電子決済手段の監督体制強化と法制度整備
予算要求と並行して、新たな金融サービスへの対応に向けた機構・定員要求として13人の増員が求められています。具体的には、暗号資産取引業者に対するモニタリング体制を強化するための室長設置をはじめ、電子決済手段等取引業者の監督体制拡充、デジタル技術を活用した決済の高度化推進、フロンティアAIがもたらすリスクへの対応などが含まれます。
金融庁が公表した2025年度の実績評価書では、暗号資産とステーブルコインに関する測定指標がすべて達成と評価されました。制度面では、金融審議会のワーキング・グループ報告書を経て、2026年7月に金融商品取引法と資金決済法の改正法が成立しています。これにより、暗号資産取引の規制が金融商品取引法へ移管されインサイダー取引規制が新設されたほか、2026年度税制改正では一定の暗号資産取引所得に対する分離課税が措置されました。さらに2026年6月施行の政府令によって資産の国内保有命令や仲介業の創設、信託型ステーブルコインの裏付け資産運用の柔軟化が図られており、今回の増員要求はこれら整備された枠組みの実効性を高める動きと見られます。
ポイント
- デジタル金融施策の要求額が前年度当初予算の約8,822万円から約13億2,765万円へと約15倍に拡大し、国の成長投資の柱として位置づけられた点
- ブロックチェーン上で資産の移転や決済を行うオンチェーン金融の活用や、3メガバンクによるステーブルコイン共同発行などの決済基盤構築が支援される点
- 暗号資産取引業者のモニタリング強化に向けた室長の配置や、電子決済手段等取引業者の監督拡充のために13人の増員が要求された点
- 2026年7月の金商法・資金決済法改正や税制改正による環境整備を経て、官民連携による実装支援と規制運用の両面が強化される点
総研プライム
ブロックチェーンを、
徹底的に読み解く。
技術の仕組み、企業の戦略、市場の構造まで。独自の調査・分析で掘り下げる専門レポート。
初月無料で読む