日本の大手証券会社である野村ホールディングスは、暗号資産(クリプト)子会社のLaser Digitalが2025年10月~12月期に取引損失を計上したことを受け、暗号資産ポジションの削減とリスク管理の強化を発表した。しかし、この損失発表のわずか2日前にLaser Digitalは米国でナショナルトラスト銀行設立の認可を申請していたことが明らかになった。同社の戦略は、短期的なトレーディングリスク管理と長期的なインフラ投資を分離する「二重戦略」であると見られている。
発表内容の詳細
野村は1月30日の四半期決算発表において、子会社Laser Digitalが10月~12月期に損失を計上し、グループの欧州部門の業績を押し下げたと開示しました。これを受けて、同社は暗号資産のポジションを削減し、リスク管理を強化したとしています。最高財務責任者(CFO)は、短期的な利益の変動を抑制するため、ポジションとリスクエクスポージャーの管理を強化したと説明しました。Laser Digitalは、2025年4月~6月期にも欧州部門の損失に貢献していました。
一方でLaser Digitalは損失発表のわずか2日前の1月28日、米国の通貨監督庁(OCC)に対して連邦政府認可のナショナルトラスト銀行設立の申請を行いました。Laser Digitalの会長は米国を「世界で最も重要な金融市場」と呼んでいます。この銀行を通じて、米国の機関投資家向けにカストディ、現物取引、およびステーキングサービスを提供することを目指しているとのことです。
上記の動きから野村グループは、短期的な損益が出やすいトレーディングと長期視点で進めるライセンス・インフラ整備を切り分けて進めており、暗号資産事業を段階的に育てようとしているようです。
今後の展開
Laser Digitalは、取引損失を計上した2025年4月~6月期においても、日本の金融庁(FSA)と、国内の機関投資家向け暗号資産取引ライセンス取得に向けた事前協議を進めていました。
また、同社はすでに2023年8月1日にドバイの暗号資産規制当局(VARA)から完全な暗号資産事業ライセンスを取得しているほか、2025年8月6日にはVARAのパイロットフレームワークに基づき、初の規制されたOTC暗号資産デリバティブライセンスを取得しています。さらに、2026年1月22日には、トークン化されたビットコイン・ダイバーシファイド・イールド・ファンドをローンチしています。これらの動きは、同社が米国・日本・ドバイで積極的にライセンス取得とインフラ構築を進めていることを示しています。
編集部コメント
暗号資産分野に取り組む金融機関が短期的な価格変動リスクへの対応と将来を見据えたインフラ整備を切り分けて進めようとしています。今後は野村に限らず、相場の変動には慎重に向き合いながらもライセンス取得や基盤構築といった長期的な取り組みを段階的に積み上げていく金融機関が増えていく可能性がありそうです。