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【イベントレポート】Blockchain Summit 2026 | クレディセゾン社共催、大手金融機関や海外企業が集結した国際カンファレンス〜金融とブロックチェーンが交差する未来〜

2026年2月25日、金融庁主催の「Japan Fintech Week 2026」期間中に、Pacific Metaとクレディセゾンの共同主催による国際カンファレンス「Blockchain Summit 2026」が開催された。「Japan Fintech Week」期間中は「MoneyX」や「FINSUM」といった多数のFinTech関連イベントが開催されるが、金融×ブロックチェーンに特化した本格的な国際カンファレンスとして「Blockchain Summit」が加わるのは今回が初めてである。

メガバンクをはじめとする大手金融機関、金融庁、国内外のインフラ事業者、スタートアップなど幅広いプレイヤーが一堂に会し、トークン化(RWA)やステーブルコイン、相互運用性といった主要論点について、制度・運用・プロダクト設計まで踏み込んだ議論が行われた。申込数は1,200名を超え、当日は500名以上が来場。来場者の約20%が海外からの参加者で、11か国から登壇者・参加者が集まるなど、国際色豊かなカンファレンスとなった。

本レポートでは、当日行われた全13セッション分の議論をそれぞれ以下の3つの視点で整理する。

  • トークン化やステーブルコインが「実験」から「実装」へ移る中で、何が社会全体への普及の条件になるのか
  • 規制・運用・流通・体験設計を含む「エコシステム設計」がなぜ重要なのか
  • 産業横断の連携によって、国内の実装事例をどう増やし、グローバルにつながる市場をどう作るか

金融とブロックチェーンの交差点で、いま何が動いているのか。以下、当日の議論を振り返る。


1. オープニング&キーノート:Pacific Meta

登壇者紹介

  • Pacific Meta CEO 岩崎 翔太

セッション要点

  • Pacific Metaが掲げる「オンチェーン金融がもたらす未来」と、実現に向けた取り組みの全体像が提示された
  • オンチェーン金融は、金融行為のデジタル化を通じて利回り・資産アクセスを広げ得る
  • 企業のオンチェーン移行には、企画だけでなく開発・運用まで含めた一気通貫の実装力が鍵になる

オンチェーン金融が「金融の民主化」を叶える

Pacific Meta CEO 岩崎 翔太

本イベントは、主催者Pacific Metaの代表取締役・岩崎のオープニングキーノートで幕を開けた。オンチェーン金融が今後の金融の在り方を大きく変えていく。ブロックチェーンは金融行為をデジタル化し、利回りや資産へのアクセスを広げる可能性を持つ。こうした領域に対してPacific Metaは、ブロックチェーンに関する知見やグローバルネットワークを活かし、企業のオンチェーン移行を後押ししていく方針を掲げており、今回のイベントもその延長線上に位置づけられる。

講演は、「金融の民主化」を実現するためには、日本が産業界・金融機関と連携してこの潮流に遅れをとらないようにする必要があるというメッセージで締めくくられた。

2. キーノート:クレディセゾン

登壇者紹介

  • クレディセゾン 取締役(兼)専務執行役員/セゾンインターナショナル CEO 森 航介 氏

セッション要点

  • 「変革こそが鍵」という観点から、企業変革の歴史と現在のDX・AI変革が共有された
  • インドやブラジルのDPI(デジタル公共インフラ)の事例を引き合いに、レール整備が産業競争力を左右する点が示された
  • 次世代の金融アーキテクチャ構築には、銀行・規制当局・企業・スタートアップの連携が不可欠である

「変革」×DPIの視点で読む、次世代金融のレールづくり

クレディセゾン 取締役(兼)専務執行役員の森 航介氏

続いてのキーノートは、Pacific Metaとともに今回主催を務めるクレディセゾンから、取締役(兼)専務執行役員の森 航介氏が登壇した。

「変革こそが鍵」という観点から、同社の変革の歴史、現在進めているDX・AI変革、そしてグローバル展開の考え方が共有された。インドやブラジルのデジタル公共インフラの事例を踏まえ、金融・決済の”レール”整備が産業競争力を大きく左右する点が示された。ブロックチェーンは、すべてがデジタル化した後に自然につながる基盤になり得るという見立てのもと、銀行、規制当局、企業、スタートアップなど多様なプレイヤーが協力して次世代の金融アーキテクチャを構築していく必要がある——そう呼びかけて講演は締めくくられた。

この問題意識を裏づける材料として、森氏は講演内で各国の「レール(インフラ)整備」が産業競争力を左右してきた具体例も示す。

インドのAadhaarやUPI、ブラジルのPIXやオープンファイナンスなど、DPI(デジタル公共インフラ)が産業競争力を左右してきた事例が整理されている。ブロックチェーンを語る前段として「レール整備」の解像度を上げた点が、このキーノートの肝と言える。

3. Fireside Chat:Stellar Development Foundation

登壇者紹介

  • Stellar Development Foundation President & Chief Growth Officer José Fernández da Ponte 氏
  • Kenanga Investors CEO and Executive Director Datuk Wira Ismitz Mathew De Alwis 氏
  • Onigiri Capital Managing Partner Looi Qin En 氏

セッション要点

  • トークン化をパイロットで終わらせないための条件は、【タイミング・体制・流通】にある
  • 技術は「見えること」ではなく、利便性として“不可視化”されるべきである
  • 日本は規制基盤が整っている強みを活かし、価値の証明から先進ユースケースの創出へと進むのが望ましい

トークン化が「パイロット止まり」にならないための3条件(体制・流通・タイミング)

左から:José Fernández da Ponte 氏、 Datuk Wira Ismitz Mathew De Alwis 氏、 Looi Qin En 氏

主催2社の基調講演に続いて開催されたのは、本イベントのプラチナスポンサーでもあるStellar Development FoundationのJosé Fernández da Ponte 氏をメインスピーカーに迎えてのファイヤサイド・チャット。

本セッションでは、トークン化を本格的な社会実装に向けて進めるうえで、パイロットで止まらないための条件が整理された。そこで重要なのは、環境が整う“タイミング”、大規模組織で推進する“体制”、そして実際に使われるための“流通(ディストリビューション)”である。技術はユーザーに見えない形で利便性として提供されるべきで、非専門家でも使えるUI/UXがマスアダプションの鍵になる、という示唆が強調された。また日本は早期から規制フレームが整備されており、他地域の事例から学びつつ、実証で価値を証明して先進ユースケースへ移行していくべきだ、という提言がなされた。

この論点は抽象論にとどまらず、実務上の改善が見えた事例としても補強されている。

本セッションでは、欧州の運用事例として「ブロックチェーン技術の導入によって、従来2週間かかっていた資産確認を24時間以内に短縮した」というケースが紹介されている。こうした“見えにくい業務摩擦”を具体的に潰せるかが、トークン化をパイロット止まりにしない分水嶺になる、という含意が強い。

パートナーシップ締結の様子

また、セッション終盤にてKenanga InvestorsのDe Alwis氏(CEO / Executive Director)がサプライズ登場し、Stellarとのパートナーシップの締結を発表した。

4. パネルディスカッション:国内金融トップ企業が語る「ブロックチェーン×金融の未来」

登壇者紹介

  • 三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO 磯和 啓雄 氏
  • クレディセゾン 代表取締役(兼)社長執行役員COO 水野 克己 氏
  • みずほフィナンシャルグループ 執行役常務 グループCDO執行役常務 グループCDO 上ノ山 信宏 氏
  • Pacific Meta CBDO/共同創業者 邵 鴻成 (モデレーター)

セッション要点

  • ブロックチェーンで提供形態は変わり得るが、信用・安全性・安定性の重要性は不変である
  • トークン化の価値を出すには、資金回収や決済摩擦の改善など“実務上の効果”が問われる
  • ユースケース・制度・運用設計をセットで積み上げ、スケールの条件を整備する必要がある

金融の「信用」は守りつつ、決済摩擦をどう剥がすか(トップ金融の実装論)

左から:水野 克己 氏、上ノ山 信宏 氏、磯和 啓雄 氏、邵 鴻成 (モデレーター)

本イベント最初のパネルディスカッションでは、国内主要金融機関のリーダーが登壇し、「ブロックチェーンが金融をどう変えるのか」を、将来像と足元の実務課題の両面から議論した。

まず共有された前提は、提供手段がデジタル化しても、金融における信用・安全性・安定性は揺るがないという点である。そのうえで、ブロックチェーンは顧客とよりダイレクトにつながり得る手段であり、うまく使えば金融の提供の在り方を変え得るという見立ても提示された。

続いて議論は、「では、どこで価値が出るのか」という実装論に移った。クレディセゾンの水野氏は、ノンバンクとして資金調達と回収のスピードが経営課題であることを踏まえ、不動産STO(セキュリティ・トークン・オファリング※)の小口販売(1口5万円、最低10万円)などの実績を引き合いに、トークン化によって資金回収サイクルや販売効率を改善することができる可能性を示した。

SMBCの磯和氏は、セキュリティトークンがデジタルであるにもかかわらず決済がT+2になっている点を「現場の摩擦」として挙げる。トークンのメリットを現実の業務に接続するには、ステーブルコイン等の決済レール整備が不可欠だと論点を立てた。

それに対し上ノ山氏は、トークン化がニッチな取り組みに閉じないためには、社会に受け入れられるような利便性の設計に加え、更新投資も賄える持続可能なビジネスモデルと、一定のスケールを前提とした設計が必要だと整理した。

総じて本パネルは、技術の是非を語る段階から一歩進み、ユースケース、制度、運用設計をセットで積み上げて「実務で回る条件」を整えることが、次の実装フェーズの焦点になるという方向性に収斂した。

※ブロックチェーン技術を用いて不動産の所有権や収益権をデジタル証券化し、少額からオンラインで売買できる仕組み。個人投資家でも大都市のオフィスビルなどへの分散投資が可能となり、流動性が高く、透明性のある資産運用が可能となる。

5. パネルディスカッション:トークン化市場拡大の「見えざる壁」:16兆ドル規模への成長を叶える真の要件とは

登壇者紹介

  • Stellar Development Foundation Chief Legal & Policy officer Candace Kelly 氏
  • EMURGO CEO Phillip Pon 氏
  • Sony Ventures CEO Kazuhito Hadano 氏
  • Ondo Finance  Global Business Development Managing Director Min Lin 氏
  • Pruv Finance Chief Commercial Officer Jordan Kang 氏
  • Onigiri Capital Managing Partner Hans de Back 氏 (モデレーター)

セッション要点

  • 規制の明確性、投資家保護、リスク管理、プライバシーといった“見えない層”がスケールの前提条件になる
  • 透明性とプライバシーはトレードオフであり、金融用途ではプライバシーレイヤーの設計が不可欠である
  • UX/UIと既存金融インフラとの統合が進まない限り、実装を広げることは難しい

トークン化の成否は「見えない層」(規制・保護・プライバシー)で決まる

左から:Candace Kelly 氏、Phillip Pon 氏、Kazuhito Hadano 氏、Min Lin 氏、Jordan Kang 氏、Hans de Back 氏 (モデレーター)

本セッションでは、「トークン化市場は伸びる」という期待が先行する一方で、実際にスケールさせるには、技術以外の“見えない前提条件”を整える必要がある、という問題提起から議論が始まった。

まず焦点になったのは、透明性とプライバシーの両立である。ブロックチェーンの透明性や監査可能性は金融にとって強みになり得る一方、取引履歴が追跡できることで競合に戦略情報が読まれてしまいかねない。金融用途ではプライバシー保護が大前提になるため、透明性を保ったままプライバシーを担保するレイヤー設計が不可欠だ、という論点が共有された。

次に、機関投資家の採用を左右するのは、プロダクトの思想だけでなく法的な明確性とリスク管理だという話に移った。破産事象時の所有権や債権者の権利など、法的な不確実性が残る限り、機関投資家はリスクチームの審査を通せず、資金が入ってこない。したがって、規制の明確性はイノベーションの妨げではなく、むしろ競争と実装を加速させる土台になる

そのうえで議論は、「規制がある」だけではまだ不十分で、実務として運用でき、既存の金融規制システムと相互運用できる形まで落とし込む必要がある、という方向に広がっていく。

最後に、普及のボトルネックは制度だけでなく、配信(ディストリビューション)とUX/UIにもあることが確認された。トークン化された資産を誰にどう届け、非クリプト層でも使える体験に落とし込めるか。既存の金融インフラや新しい技術(AIなど)との統合まで含めて設計しなければ、実装は広がらない、という整理で締めくくられた。

6. キーノート:D3 Labs

登壇者紹介

  • D3 Labs CEO Lai Chung Ying 氏

セッション要点

  • RWAのスケールには、規制要件(KYC、ホワイトリスト等)を前提にした設計が不可欠である
  • 最終的な市場規模ではなく、そこに至るプロセスを“法的保護が効く形”で設計する重要性が示された
  • 配信チャネルとして既存DeFiエコシステムも活用し得る、という方向性が提示された

RWAをスケールさせる鍵は「規制適合」と「配信設計」にある

D3 Labs CEOのLai Chung Ying 氏

D3 LabsのCEO、Lai Chung Ying 氏によるキーノートでは、RWAを「市場規模の議論」から「実際に回る設計」へ落とし込む視点が提示された。講演の軸は、16兆ドル規模といった最終的なポテンシャルよりも、そこに到達するまでのプロセスを法的保護が効く形で組み上げられるか、という点に置かれていた。

まず語られたのは、オンチェーン資産の伸びと需要の変化である。オンチェーン利回りが変動するなかで、機関投資家ファンドやクレジットファンドのようなRWAが安定的な利回り商品として存在感を増し、オンチェーンのユーザーにとっても魅力的な選択肢になっている。

一方で、RWAは多くの国でセキュリティ上規制され、KYCやホワイトリストが前提となる。つまり、暗号資産のように自由に流通させることはできず、設計を誤ると普及拡大しづらい。講演では、この制約を前提に、規制枠組みを活用しながら「合法的に販売・流通できるプロダクト」を組むことが重要だと述べられた。

その具体例として示されたのが、インドネシアで稼働するProFinanceと、開発中の流動性プロトコルREXである。インドネシアではトークン化をデジタル金融資産として扱う枠組みが整備されており、適切なプロセスを踏めば、機関投資家ファンドのトークン化を個人投資家向けに販売し、取引所やDeFiマーケットプレイスで利用できる。

さらに同氏は、RWAを“配信”する際には既存のDeFiエコシステムや複数チェーンをチャネルとして活用し得る、と述べる。ただし重要なのは「どこで売るか」だけでなく、ファンドの組成、販売、二次流通までの各段階を、裁判管轄を含めて法律に守られる形でコンポーザブルに設計することであり、これが機関投資家のリスク管理とも整合する、という主張で講演は貫かれていた。

7. パネルディスカッション:金融庁×国内ステーブルコイン・STのパイオニア(~規制とイノベーションの両立~)

登壇者紹介

  • 金融庁 暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官 今泉 宣親 氏
  • JPYC 代表取締役 齊藤 達哉 氏
  • Progmat 代表取締役 岡部 典孝 氏
  • 野村ホールディングス デジタル・カンパニー デジタル・アセット推進室長 佐々木 俊典 氏
  • PacificMeta 執行役員/ブロックチェーン研究所 所長 松本 頌平(モデレーター)

セッション要点

  • 資金決済法改正を踏まえ、仲介業新設など制度面のアップデートと、実装フェーズの論点が整理された
  • 普及には「制度」だけでなく、持続可能なビジネスモデルと運用設計が不可欠である
  • DeFi/セルフカストディ、ブラックリスト/ホワイトリストなど、規制と実務が交差する現状に対する議論が行われた

制度アップデートの次は、ステーブルコインを「回す」運用設計へ

左から:今泉宣親 氏、齊藤達哉 氏、岡部典孝 氏、佐々木俊典 氏、松本 頌平(モデレーター)

本パネルでは、2025年の資金決済法改正を踏まえ、ステーブルコインとST(セキュリティトークン)が「制度として可能になった」が、果たしてその次に、どのような施策が社会実装において有効となるのかが議論された。

冒頭で整理された大きなトピックは、仲介業の新設である。交換業者につなぐ仲介サービスが可能になったことで、オンラインゲームやECなど顧客接点を持つ事業者が参入しやすくなり、ステーブルコインの入口と出口を作りやすくなる。発行者側から見ると、この変化がオンランプ/オフランプの設計自由度を高める、という見立てが共有された。

一方で、制度が整っても「儲からない」ままでは普及しない、という現実的な論点も提示された。発行残高と金利などを前提に、どのように収益設計を組めば持続可能なビジネスとして成立するのか。裏付け資産の運用条件も含め、制度とビジネスモデルはセットで考える必要があるという。

議論はさらに、規制と実務が交差する論点に踏み込んだ。ブラックリスト方式とホワイトリスト方式の違い、リスクベースの設計(少額と高額での対応差)、DeFiやセルフカストディの位置づけなど、単純な二択ではなく「どこで均衡点を作るか」が焦点となった。

STについては、国内は従来型の体験が中心である一方、将来的には投資家が自分でポジションを管理し、チェーン上で直接取引する世界観も視野に入っていることが確認された。ただし、T+0決済は理想であっても、誤送金時のカスタマーサポートなど法人動線が不足している、といった運用面の課題が残る。

総じて本パネルは、制度改正をスタート地点として、収益設計、運用設計、ユーザー体験、そして当局との対話を積み上げ、「回る仕組み」に落とし込むことが次の実装条件になる、という流れで議論が進んだ。

8. パネルディスカッション:世界のトークナイゼーション潮流(米国・欧州・アジアの市場構造)

登壇者紹介

  • OpenAssets Chief Business Officer Bryan Bodner 氏
  • SecondSwap CEO Kanny Lee 氏
  • Indonesia Blockchain Council Vice Chairman Kevin Susanto 氏
  • DBS Head of Tokenisation for Global Financial Markets Kelvin Tan 氏
  • Banca d’Italia Chief Representative Tokyo Office Andrea Gerali 氏
  • Mishcon de Reya Special Counsel Nathanael Lim 氏(モデレーター)

セッション要点

  • トークナイゼーションは成長する一方、市場構造は地域の規制・インフラ設計で大きく異なる
  • 決済資産へのアクセス、規制インフラ、二次市場インフラが“スケールの条件”になる
  • 公共アンカー(CBDC等)やロードマップ型の育成など、国ごとのアプローチの違いが比較された

トークナイゼーションは「地域の制度とインフラ設計」で伸び方が変わる

左から:Bryan Bodner 氏、Kanny Lee 氏、Kevin Susanto 氏、Kelvin Tan 氏、Andrea Gerali 氏、Nathanael Lim 氏(モデレーター)

本パネルでは、RWAトークナイゼーション市場が拡大するなかで、「同じ技術でも地域によって伸び方が変わる」理由を、市場構造と制度設計の観点から読み解いた。

まず共有された事実として、過去3年で市場は50億ドルから300億ドルへ成長している。しかし次に問われたのは、その成長が直線的に続くのかではなく、各地域がどのような制度とインフラの前提条件を持っているのか、という点だった。

米国は、政治的変化への期待はあるものの、現時点では規制の方向性が明確でなく、制度的なブロッカーが残る。トークナイゼーションは単なる技術導入ではなく、資産を保護し、安心して取引できるためのインフラである以上、制度の不透明さはそのまま普及の摩擦になる、という整理がなされた。

対照的にインドネシアでは、規制当局が枠組みを再編し、単一当局のもとでロードマップを策定して市場育成を進めている。市場の動きを観察しながら規制を固めていくボトムアップのアプローチは、実装を前に進める現実解として提示された。

シンガポールは、当局と中央銀行がプロジェクトを積み重ね、Payment Services Actの整備を経て、銀行もクリプトサービス提供に踏み込んできた。業界と当局が協力してフレームワークを構築することで、実装が前進するという。

欧州では、公共金融アンカーとしてのCBDC(デジタルユーロ)やDLTパイロット制度(※)のように、「競争を促しつつ、閉鎖的エコシステムを防ぐ」制度設計が議論された。ここでは特に、中央銀行マネーへのアクセスがある場合に最も成功しやすい、という示唆も提示されている。

議論を通じて浮かび上がった共通項は、スケールの条件が技術単体ではなく、決済資産へのアクセス、AML/KYCを含む規制インフラ、そして二次市場インフラの整備にあるという点である。市場は伸びているが、伸び方を決めるのは「制度とインフラの設計」である、という結論に至った。

※EUがブロックチェーン等の分散型台帳技術(DLT)を用いた金融商品(株式・債券等)の取引・決済を促進するため、従来の規制を一時的に緩和・特例化する実証実験枠組み

9. パネルディスカッション:ブロックチェーンは生活をどう変えるのか?(大手プラットフォーマーの展望)

登壇者紹介

  • メルコイン 代表取締役CEO 中村 奎太 氏
  • KDDI オープンイノベーション推進本部 OIビジネス部開発部 グループリーダー 笠井 道彦 氏
  • ソニー銀行 DX事業企画部長/BlockBloom 取締役 金森 伽野 氏
  • Pacific Meta Marketing&PR統括 武田 康平(モデレーター)

セッション要点

  • ブロックチェーン普及の鍵は技術ではなく、生活導線に沿った“体験価値”として届けること
  • 日本では不安感や理解不足が障壁になりやすく、用語・見せ方・安全性担保が重要である
  • ブロックチェーンはユーザーから見えない形で組み込まれ、「わからなくても使える」状態を目指すべき

「技術を語らない」ことが普及を進める:生活導線上につくるオンチェーン体験

左から:中村 奎太 氏、笠井 道彦 氏、金森 伽野 氏、武田 康平(モデレーター)

本パネルでは、「ブロックチェーンは生活者の体験をどう変えるのか」をテーマに、国内大手プラットフォーマーが“普及のつまずきどころ”と“突破口”を具体のユーザー像から議論した。

まず現状認識として、各社とも普及はまだ初期段階であり、この1〜2年でようやく「技術の可能性」から「実装の議論」へ移ってきたものの、実際に使っている人はまだ少ない、という点で一致した。特に日本では、「怖い」「わからない」といった不安感や不審感が根強く、パーセプション(認知の質)を変える必要がある、という問題意識が共有された。

そのうえで議論は、生活者に届く設計に落とすための論点に移る。技術用語(NFT、暗号資産)を前面に出すのではなく、コンテンツや体験価値で訴求し、ユーザーが「わからなくても使える」状態を目指すべきだという。

この方針を各登壇者は、それぞれのユーザー像に合わせて具体化している。

  • 中村氏(メルコイン)は、口座開設者の9割弱が初めての暗号資産取引であるという前提に立ち、入口は「暗号資産」よりも認知のある「ビットコイン」に寄せる設計が有効だと述べた。NFTも「デジタルアイテム」として提示し、取引所の敷居を下げる“ゲートウェイ”としてタッチポイントを増やす方向性が示された。
  • 金森氏(ソニー銀行/BlockBloom)は、エンタメIPと結びつけた施策を通じて幅広い年齢層にリーチできる点を説明した。ゼロ知識証明を用いた位置情報証明NFTのように、「位置情報のデータは取らず、『そこにいた』という事実だけを残す」設計で、体験価値と安心感を両立させる例が紹介された。
  • 笠井氏(KDDI)は、NFTそのものではなく、クリエイターとの関係性や会員証的な価値を前面に出し、コミュニティを育てる重要性を強調した。あわせて、ポイントなど既存サービスとの連携によって「使う理由」を作ることが、普及の現実解になると整理した。

最後に、普及を進めるには業界全体でセキュリティに投資し、安心・安全を担保することが不可欠である、という点にも触れられている。総じて本パネルは、マスアドプションの鍵が「技術」ではなく、ユーザー導線と体験設計、そして信頼の積み上げにあることを、具体例で示す議論となった。

10. パネルディスカッション:ステーブルコイン×決済:“実験”を越えて“日常インフラ”へ

登壇者紹介

  • AIsa CEO Jordan Liu 氏
  • Base East Asia Lead  Hyuckjae David Park 氏
  • Circle Country Manager for Japan Kenta Sakakibara 氏
  • LayerZero Head of APAC Alex Lim 氏
  • DFNS Managing Director, Head of APAC & Global Partnerships and Ecosystem Felix Eigelshoven 氏
  • Valor Capital Director of Emerging Technology Bruno Batavia 氏(モデレーター)

セッション要点

  • 技術は整いつつある一方、オンランプ/オフランプ、UI/UX、規制整備が採用拡大の障壁となる
  • チェーン断片化を解消する相互運用性が、実装フェーズで重要性を増している
  • AIエージェントによる支払い(エージェンティックペイメント)を見据えると、価値移転の仕組みのスケールが課題となる

ステーブルコインを「日常インフラ」にするために残る、最後の摩擦

左から:Jordan Liu 氏、Hyuckjae David Park 氏、Kenta Sakakibara 氏、Alex Lim 氏、Felix Eigelshoven 氏、Bruno Batavia 氏(モデレーター)

本セッションでは、ステーブルコインが「実験」段階を越え、日常の決済インフラになり得るところまで来ている一方で、普及を阻む“最後の摩擦”がどこにあるのかが整理された。

冒頭で共有されたのは、技術とプロダクト自体は準備ができているものの、金融機関の受け入れや規制当局の承認、そして一般ユーザーの体験設計が追いついていない、という現状である。特に非技術者が日常で使うには、UI/UXとオンランプ/オフランプの設計が決定的に重要になる。

この点を象徴する指摘が、「自分たちの親世代が20分以内に支払えるレベルまでオンランプが落ちていない」というもの。採用を左右するのはブロックチェーンの性能ではなく、生活導線に埋め込めるかどうか、という問題意識がこのセッションにおいてもあらためて強調された。

議論は次に、断片化したチェーン環境と相互運用性の重要性に移った。ステーブルコインや決済がスケールするほど、チェーンをまたぐ価値移転が前提になるため、インターオペラビリティをどう実装するかが普及の条件になる。

また、日本市場の具体例として、CircleとSBIによるUSDC展開が取り上げられた。取引所でのオンランプ/オフランプに加え、JCBや決済ゲートウェイ、Digital Garage等との実証により、「観光客はステーブルコインで支払い、加盟店は法定通貨で受け取る」形を作ることで、加盟店側の体験を変えずに導線を広げられる、という現実的なアプローチが提示された。

さらに、AIエージェントが支払いを行う“エージェンティックペイメント”の文脈では、価値移転の仕組みが小さな単位でスケールする必要があり、ウォレットや決済レールが「価値の高いプロダクト」になるという見立ても共有された。

総じて本セッションは、規制、運用、プロダクトを揃えたうえで、オンランプ/UXという“最後の一段”を越え、生活導線に自然に溶け込ませられるかが、実装フェーズの勝負所になる、という流れで議論が進んだ。

11. キーノート:LayerZero

登壇者紹介

  • LayerZero Head of APAC Alex Lim 氏

セッション要点

  • 多数のチェーンが並立する“断片化”が、金融・決済のスケールにおける課題として提示された
  • 従来ブリッジのリスクを踏まえ、メッセージングによる相互運用性の設計が重要になる
  • ステーブルコインや資産トークン化が拡大するほど、オムニチェーン前提の設計が“前提条件”になる

チェーン断片化時代の答えは「相互運用性」:オムニチェーンが前提になる

LayerZero Head of APAC Alex Lim 氏

LayerZeroのキーノートでは、ステーブルコインや資産トークン化が拡大する次の局面で、何が“前提条件”になるのかが、スケールの観点から語られた。

講演の出発点は、ブロックチェーンが増え続けた結果生まれている断片化である。現在、何百ものチェーンがそれぞれ別の「島」として存在しているが、金融・決済のようにネットワーク効果が重要な領域では、そのような断片化がそのまま普及の摩擦になる。

この課題に対し、従来のモノリシックなブリッジは単一障害点となりやすく、過去の大型ハック被害も踏まえると、金融用途の基盤としてはリスクが大きい。そこでLayerZeroは、SWIFTのようなメッセージングの発想で異種ネットワーク間の通信を標準化し、チェーン間で資産やメッセージを安全にやり取りできるインフラを作る、という方向性を提示している。

講演では、オムニチェーン・ファンジブルトークン(OFT)の標準化や、ガス抽象化などの設計要素にも触れられた。ポイントは、ユーザーがチェーンの違いを意識せずに価値移転できる状態を作り、送金・決済がチェーンをまたぐことを前提にできるようにすることにある。

結論として、相互運用性は「あると便利」ではなく、資産トークン化やステーブルコインがスケールするほど不可避に立ち上がる前提条件であり、金融機関がオンチェーンへ移行する局面でも、複数チェーンを前提にした設計が必要になる、という示唆でキーノートは締めくくられた。

12. パネルディスカッション:From Global RWA to Japan(グローバルRWAの日本展開)

登壇者紹介

  • Stellar Development Foundation Director of Asia Pacific Betty Sun-Lucas 氏
  • Sompo Digital Lab President Kevin Flannery 氏
  • a16z crypto Partner and Head of APAC GTM SungMo Park 氏
  • Jugemu Labs CEO Koichi Fujikawa 氏
  • BNY Head of Investment Oversight and Client Solutions, APAC Clarence Chan 氏
  • Pacific Meta Business Development Mako Okubo(モデレーター)

セッション要点

  • RWAの海外モデルはそのまま移植できず、日本の制度・市場構造に合わせた再設計が必要である
  • 商品設計だけでなく、カストディ、投資家保護、二次流通、決済など周辺インフラが普及を左右する
  • 日本固有の制約と強みを踏まえ、実務で回る市場の形を作ることが鍵となる

グローバルRWAを日本に持ち込むときに必要な「市場の再設計」

左から:Betty Sun-Lucas 氏、Kevin Flannery 氏、SungMo Park 氏、Koichi Fujikawa 氏、 Clarence Chan 氏、Mako Okubo(モデレーター)

グローバルで進むRWAの勝ちパターンを、日本市場に持ち込む際の論点が整理された。制度・市場構造・流通チャネルが地域によって異なるため、海外モデルをそのまま移植するのではなく、日本の規制環境や既存金融インフラ、投資家層に合わせて設計し直す必要がある。特に、商品設計だけでなく、カストディ、投資家保護、二次流通、決済など周辺インフラを含めた“市場の形”をどう作るかが焦点となる。総じて、海外事例を参照しつつも、日本固有の制約と強みを踏まえて「実務で回る形」へ落とし込むことが重要だ、という見取り図が浮かび上がった。

この前提を踏まえ、議論の後半では「RWAの普及が何で決まるのか」をより分解して整理しており、その普及が「商品単体」では決まらず、KYCやホワイトリスト、決済資産へのアクセス、セカンダリーのインフラ、運用責任の切り方まで含めたエコシステム設計で伸び方が変わる、という前提が繰り返し示されている。海外で成立しているモデルを参照しつつも、日本側では規制要件・市場構造・投資家層の違いを踏まえ、どこを“再設計ポイント”として握るかが問われるセッションだった。

13. パネルディスカッション:デジタル資産の最前線(日本発RWA/ST拡大に向けた論点)

登壇者紹介

  • Toyota Blockchain Lab アナリスト 上野 直彦 氏
  • SMBC日興証券 Nikko Open Innovation lab 部長 磯野 太佑 氏
  • 三井物産 参与 和歌 伸介 氏
  • Pacific Meta 金融事業開発部統括 ⽇座 正和(モデレーター)

セッション要点

  • 日本発RWA/STの拡大には、制度だけでなく実装論点(発行・販売・決済・管理・二次流通)の積み上げが必要である
  • デジタルに見合う取引・決済体験(時間・コスト・事務負荷の改善)を実現することが価値創出の条件となる
  • 既存インフラ接続、役割分担、運用体制、リスク管理まで含めた“実務標準”づくりが鍵となる

日本発RWA/STを広げるには、発行から二次流通まで「実装の積み木」を揃える

左から:上野 直彦 氏、磯野 太佑 氏、和歌 伸介 氏、⽇座 正和(モデレーター)

本セッションでは、日本発のRWA/STを広げるために、制度だけでなく、発行から販売、決済、管理、二次流通までの実装論点を積み上げる必要がある、という観点で議論が整理された。

トークン化の価値を出すには、デジタルであることに見合った取引・決済体験(時間、コスト、事務負荷の改善)を実現することが不可欠である。そのためには、既存インフラとの接続、関係者間の役割分担、運用体制、リスク管理まで含めて設計する必要がある。結果として、技術と制度の両方を踏まえた“実務標準”をどう形成していくかが、普及の鍵になるという示唆が残った。

その延長線上として、議論の中では「実装が進んだ先に日本が取り得る勝ち筋」も複数示されている。

具体的には、実装が進んだ先の勝ち筋として「既存の決済システムの不都合を解く」「アジアの資本市場をつなぐ役割を担う」「IP産業と連携し、ニッチでも世界展開できるモデルを作る」といった方向性が挙げられている。大きな結論というより、どこに“実務の積み木”を積むかの論点が具体化したセッションだったと言える。

14. クロージング:Pacific Meta

登壇者紹介

  • Pacific Meta 邵 鴻成(CBDO/共同創業者)
CBDO 邵 鴻成

全13セッションの議論を経て、イベントはPacific Meta CBDO・邵 鴻成によるクロージングキーノートで幕を閉じた。登壇者・参加者・共催パートナーへの謝辞とともに、当日の議論を振り返り、金融市場におけるブロックチェーンの活用が、「実験」から「実装」へ移るこのタイミングで、立場を超えた対話の場を持てたことの意義を改めて強調した。

今後も産業の枠を超えた連携を通じて国内の実装事例をより一層積み上げ、世界に通用する市場をつくっていく——その決意とともに、Blockchain Summit 2026は閉会した。

まとめ

Blockchain Summit 2026で浮き彫りになったのは、「トークン化/RWA」「ステーブルコイン」「規制と実装」「相互運用性」といった論点が、単なる概念整理を越え、制度・運用・流通・体験設計まで含めたエコシステム設計の議論へ移っている、という現在地である。

金融機関、規制当局、インフラ事業者、スタートアップが同じテーブルにつき、立場を越えて実務の論点を前に進める対話が行われたこと自体が、日本市場におけるユースケース創出と実務標準づくりが次の焦点であることを示しているのではないか。

こうした対話の場を継続的につくっていくことが、実装を加速させる上で不可欠である。Blockchain Summitは今後もその場であり続ける。Pacific Metaは今後もイベント開催や企業のオンチェーン移行支援を通じて、国内外のパートナーとともに実装事例を積み重ね、日本発のオンチェーン金融市場をつくっていく。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用を専門とする編集チームです。Web3・ブロックチェーン領域に特化したコンサルティングファームである株式会社Pacific Metaが、国内外41カ国・150社以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

ビジネスでの活用から個人の学びまで、ブロックチェーンやトークンに関する情報を、最新動向と実務でのナレッジを踏まえてわかりやすくお届けします。編集部や事業内容の詳細は、公式サイトをご覧ください。

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