韓国の主要仮想通貨取引所であるCoinone(コインワン)を巡り、大手証券会社による出資検討と最新の業績報告が明らかになりました。2025年度の純利益が大幅に減少する中で、韓国国内の規制強化に対応するための業界再編の動きが加速しています。創業者による単独代表体制への移行や新たなステーブルコインの導入計画など、経営基盤の強化とサービス拡充を急ぐ同社の動向は、韓国市場の今後を占う上で重要な局面を迎えています。
韓国投資証券による出資検討と規制への対応
2026年4月3日付の報道によると、韓国の大手証券会社である韓国投資証券(KIS)が、Coinoneの株式取得に向けた検討を行っているとされています。この動きは、韓国政府および与党が検討している「仮想通貨取引所の筆頭株主による持ち分を20%(あるいは15〜20%)以下に制限する」という新たな規制案への対応が背景にあると見られています。
現在、Coinoneの創業者兼CEOであるチャ・ミョンフン(Cha Myung-hoon)氏は、個人および関連会社を通じて同社の株式の53.44%を保有しています。規制が施行された場合、チャ氏は持ち分を売却する必要があり、韓国投資証券がその有力な受け皿になると目されています。ライバルの未来アセットグループがすでに同業のKorbit(コービット)の買収に動いていることから、証券業界による仮想通貨市場への参入競争が激化しています。
2025年度決算:純利益が前年比82.9%の大幅減
Coinoneが2026年4月2日に公表した決算報告によると、2025年度の当期純利益は約26.7億ウォン(約3億円)となり、2024年度の156.1億ウォンから82.9%減少しました。売上高は前年比3.0%増の454.8億ウォンを記録したものの、営業損失は約63.4億ウォン(約7億円)となり、前年の60.6億ウォンから赤字幅が拡大しています。
この大幅な減益の主な要因は、同社が保有する暗号資産の評価損(約590万ドル相当)が拡大したことにあると報告されています。取引手数料による収入は微増したものの、市場のボラティリティに伴う資産価値の下落が財務を圧迫した形です。
経営体制の刷新と「RLUSD」導入による競争力強化
経営環境が変化する中、Coinoneは2026年3月、従来の共同代表制を廃止し、創業者であるチャ・ミョンフン氏による単独代表体制(Sole CEO)へと移行しました。この体制変更は韓国の金融情報分析院(FIU)によって承認されており、意思決定の迅速化と責任の明確化を図ることで、規制対応や市場の変化に柔軟に応じる狙いがあると見られます。
また、サービス面では、Ripple(リップル)社が発行する米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」の導入が計画されています。これにより、韓国国内のトレーダーに対して新たな決済手段や資産運用の選択肢を提供することを目指しています。ただし、韓国金融当局による厳格なコンプライアンスチェックが必要なため、実際の取引開始には数ヶ月の承認期間を要する見通しです。
ポイント
- 2025年度の純利益が前年比82.9%減となり、保有資産の評価損が財務上の課題となっている。
- 韓国投資証券による株式取得の検討が報じられており、金融資本と仮想通貨取引所の提携による業界再編の可能性がある。
- 大株主の持ち分を20%以下に抑える新たな規制案への対応として、創業者の保有株売却が検討されている。
- 意思決定のスピードを上げるため、創業者チャ・ミョンフン氏による単独代表体制へ移行した。
- Rippleのステーブルコイン「RLUSD」の導入を計画するなど、サービスラインナップの拡充による競争力回復を模索している。