予測市場プラットフォームのポリマーケット(Polymarket)は2026年4月2日、伝統的資産市場への本格的な拡大に向け、リアルタイム価格データ提供サービスである「Pyth Pro」を統合したと発表しました。この統合により、ユーザーは米国株式やコモディティ(商品)の価格変動を対象とした予測市場に参加することが可能になります。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE)からの巨額出資を背景に、ポリマーケットは信頼性の高いデータインフラを整え、金融市場としての機能を強化しています。
米国個別株やコモディティへ予測対象を拡大
ポリマーケットが新たに追加した市場には、主要な株価指数、金・銀・WTI原油・天然ガスといったコモディティに加え、10銘柄を超える米国の個別株が含まれます。具体的には、テスラ(Tesla)やコインベース(Coinbase)、エヌビディア(Nvidia)、アップル(Apple)、パランティア(Palantir)といった、ボラティリティ(価格変動率)の高い銘柄やメガキャップのハイテク株が対象となっています。
これらの市場では、毎日の価格の上下や終値を予測する契約が提供され、各取引セッションの終了時にリセットされる仕組みです。これにより、ユーザーは従来の暗号資産や政治イベントだけでなく、より広範な金融資産の動向を予測の対象にできるようになりました。
リアルタイムデータ「Pyth Pro」による信頼性の確保
予測市場の公正な運用には、改ざんが困難で精度の高い価格データが不可欠です。ポリマーケットが採用した「Pyth Pro」は、ジャンプ・トレーディング(Jump Trading)やジェーン・ストリート(Jane Street)、LMAX、Cboeといった世界有数のデータパブリッシャー(情報提供者)から直接取得したファーストパーティデータを使用しています。
技術面では、WebSocketを通じてリアルタイムの価格データが提供され、ポリマーケットはこのデータを毎秒サンプリングしてライブチャートとして公開します。ポリマーケットのプロダクトリードであるムスタファ・アルジャデリ氏は、たった一つの価格が数百万ドルの損益を左右するハイリスクな市場において、情報源への絶対的な信頼が不可欠であると述べています。また、Pythネットワーク側も、市場の決済値をリアルタイムで確認・検証できる「Pyth Terminal」というインターフェースを同時に公開し、透明性を高めています。
機関投資家による支持と収益化への転換
ポリマーケットのこうした拡大路線は、強力な資本力によって支えられています。NYSEの親会社であるICEは2026年3月27日、ポリマーケットに対して6億ドル(約930億円)の追加投資を実施したことを明らかにしました。ICEは2025年10月にも10億ドルの初期投資を行っており、さらに既存株主から最大4000万ドル分の証券を取得する計画も進めています。
また、ポリマーケットは2026年3月末より最大1.80%の手数料を導入しており、これまでの成長重視のフェーズから、収益化を伴う持続可能なプラットフォーム運営へと転換を図っています。伝統的な金融インフラを持つICEとの提携や、機関投資家レベルのデータプロバイダーであるPythとの統合は、ポリマーケットが単なる予測サイトから、信頼性の高い金融取引プラットフォームへと進化していることを示唆しています。
ポイント
・ポリマーケットがPyth Proを統合し、米国株式や金・原油などのコモディティ市場へ拡大しました。
・テスラやエヌビディアなど10銘柄以上の個別株が予測対象となり、金融市場としての多様性が向上しています。
・Pyth Proの採用により、世界的な取引所や運用会社からのリアルタイムデータを毎秒更新で活用し、高い信頼性を確保しています。
・NYSE親会社のICEから累計約16億ドルの投資を受けており、伝統的金融機関との連携が強まっています。
・手数料の導入と資産クラスの拡大により、予測市場の収益化と制度化が進むものと見られます。