ビットコイン市場の構造転換、BlackRockのETF取引高がBinanceに匹敵

BlackRock(ブラックロック)が提供する現物ビットコインETF「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」の1日あたりの取引高が160億ドルから180億ドル規模に達し、世界最大級の暗号資産取引所であるBinance(バイナンス)のスポット取引高に匹敵する水準となっています。これは、ビットコインの流動性と価格形成の主戦場が、従来の暗号資産取引所から規制下のETF市場へと移行していることを示唆しています。市場の需給構造や投資家層の変化は、今後のグローバルな金融システムにおけるビットコインの立ち位置を再定義し始めています。

取引所を凌ぐETFの流動性と価格発見機能

ビットコイン市場の構造転換、BlackRockのETF取引高がBinanceに匹敵

米国の現物ビットコインETF市場において、IBITは圧倒的なシェアを確立しています。IBITの1日あたりの取引高は、米国大手の暗号資産取引所であるCoinbase(コインベース)の約2倍に達する日もあり、単一の金融プロダクトとして市場に極めて大きな影響力を持つ存在となりました。

現在、米国の現物ビットコインETF全体では約130万BTCを保有しており、これはビットコインの総流通量の約6〜7%に相当します。そのうちIBITは約78万BTCを保有しており、市場の成長を牽引する中心的な役割を担っています。このようにETFが大量のビットコインを保有し、高い取引高を維持していることは、価格発見(市場価格が決定されるプロセス)の機能が取引所からETF市場へとシフトしていることを裏付けています。

インカインド償還の承認による市場構造の変化

ビットコイン市場が「取引所主導」から「ETF主導」へと移行した背景には、制度面での進展があります。特に2025年に米国証券取引委員会(SEC)が「インカインド(現物)償還」を承認したことが大きな転換点となりました。

インカインド償還とは、ETFの組成や払い戻しの際に、現金ではなくビットコイン現物を用いて直接やり取りする仕組みです。これにより、認定参加者(AP)と呼ばれる金融機関は、現物市場との価格乖離を効率的に修正できるようになり、機関投資家にとっての参入障壁が大幅に低下しました。

この構造変化により、ビットコインの供給がETFを通じて市場外に「ロック」される現象が起きています。ETFへの持続的な資金流入は実質的な市場流通供給を減少させ、需給の逼迫を招く要因となっています。投資家層も変化しており、当初のリテール(個人)主体から、シタデルやポイント72といった大手機関投資家の参入が急増している点も注目されます。

日本市場におけるETF承認への期待と課題

米国で起きた「ETF主導の市場構造」への変化は、今後日本市場にも波及する可能性があります。現在、日本国内ではビットコインETFの承認に向けた議論が進んでおり、金融庁(FSA)は2028年までの承認を目指して投資信託法の改正などを検討しているとされています。

日本には約2000兆円規模の個人金融資産が存在しており、ETFが承認されれば証券口座を通じてビットコインへのアクセスが可能になります。これにより、これまで取引所の口座開設をためらっていた層の資金が流入し、市場に甚大なインパクトを与える可能性があります。また、2026年には暗号資産の税率を最大55%から一律20%へ引き下げる税制改革案も検討されており、これらの規制緩和が実現すれば、日本はアジアにおける主要なビットコイン市場としての地位を固める可能性があります。

一方で、カストディ(資産保管)が特定の企業に集中していることや、ETFからの急激な資金流出が現物価格に直接的な売り圧力を与えるリスクなど、システミックリスクへの懸念も残されています。

ポイント

  • IBITの1日あたりの取引高が160億〜180億ドルに達し、Binanceに匹敵する流動性を確保。
  • 現物ビットコインETF全体で流通量の約6〜7%を保有し、市場供給を吸収する構造が定着。
  • 2025年のインカインド償還の承認により、機関投資家が効率的に参入できる環境が整備。
  • 日本では2028年までのETF承認と、20%への分離課税導入に向けた議論が進行中。
  • 価格形成の主戦場が取引所からETFへ移行したことで、ビットコインがグローバルな金融資産として再定義されている。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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