クロスチェーンブリッジプロトコルのAcross Protocolを開発するRisk Labsは、DAO(自律分散型組織)体制を解消し、米国C法人「AcrossCo」へと移行することを決定しました。この移行は「The Bridge Across」と題された提案の承認に基づくもので、Web3プロジェクトが持続的な成長や法的安定性を求めて伝統的な企業構造を選択する重要な事例となります。ACXトークン保有者には、新会社の株式への交換やトークンの買い取りといった、資産の性質を根本から変える選択肢が提示されています。
組織体制の刷新と法人化の背景
Across Protocolは、これまでDAOによるガバナンスと財団による運営という体制をとってきましたが、今回の決定により「AcrossCo」という名称の米国C法人(米国における一般的な株式会社)へと移行します。
この転換の主な理由は、従来のDAOやトークン構造が、機関投資家や企業との提携を進める上で大きな障壁となっていたためです。法人化によって、法的強制力のある契約の締結や収益契約の構築が容易になり、プロトコルのさらなる成長に向けたビジネス基盤を強化できると見られています。また、昨今の規制環境の変化に対応し、長期的な運用の透明性を確保する狙いもあります。
トークン保有者に提示された選択肢
ACXトークンの保有者には、移行に伴い主に以下の3つのオプションが用意されています。
1. 株式への直接交換
約500万ACX以上を保有する大口保有者は、トークンとAcrossCoの株式を1対1の割合で直接交換することができます。
2. SPVを通じた株式交換
保有量が500万ACXに満たない場合でも、25万ACX以上を保有していれば、SPV(特定の目的のために設立される特別目的事業体)を通じて株式への交換に参加することが可能です。
3. トークンの買い取り(バイアウト)
株式への交換を希望しない保有者は、1トークンあたり0.04375ドルの価格で、ステーブルコインのUSDCによる買い取りを選択できます。この価格は、提案前の30日間の平均価格に対して25%のプレミアムを付与した数値とされています。
買い取りの原資には、プロトコルが保有する流動資産が充てられます。
今後のスケジュールと参加条件
トークンの買い取り窓口は、今後3カ月以内に開設され、その後6カ月間にわたって実施される予定です。
なお、株式への交換に参加する米国居住者の場合は、適格投資家(一定以上の資産や収入を持つ投資家)である必要があり、KYC(本人確認)プロセスの通過が必須条件となります。この移行期間中も、Across Protocol自体のブリッジ機能は中断することなく継続して運営される見通しです。
ポイント
- DAO体制を解消し、米国C法人「AcrossCo」として再出発することを決定しました。
- 法人化の目的は、機関投資家や企業との提携を円滑化し、法的強制力のある契約を可能にすることにあります。
- ACXトークン保有者は、保有量に応じて株式への交換(1:1)またはUSDCでの買い取りを選択できます。
- 買い取り価格は1枚あたり0.04375ドルで、プロトコルの流動資産を原資として実施されます。
- Web3プロジェクトが「トークンによる分散型統治」から「法的実体を持つ企業構造」へ回帰する動きとして、業界の注目を集めています。