2026年4月9日、ドナルド・トランプ氏が共同創設した暗号資産プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial)」のWLFIトークンが前日比で約10%下落し、0.0888ドルを記録しました。これは2025年末のトークン公開以来の最安値となります。この下落は、制裁対象となっている人物との提携疑惑と、4億4,000万ドル規模の財務運用を巡る懸念が同時に浮上したことによるものと見られています。
国際的な制裁対象ネットワークとの不透明な提携関係
WLFIトークンの価格下落の大きな要因の一つとして、同プロジェクトのパートナー企業である「AB DAO」と、国際的な制裁対象となっている人物との繋がりが指摘されています。
調査によると、WLFIの米ドル連動型ステーブルコイン「USD1」が統合されている東南アジアのブロックチェーンプロジェクト「AB DAO」は、カンボジアのプリンス・グループ(Prince Group)およびその創設者であるチェン・チー(Chen Zhi)氏と関連があるとされています。チェン・チー氏は、国際的な犯罪組織への関与を理由に、米国および英国政府から制裁を受けている人物です。
WLFI側は、提携にあたって適切なデューデリジェンス(事前の資産査定・適格性確認)を行っており、制裁対象者との直接的な関係はないと主張しています。しかし、AB DAOが制裁対象者の関連プロジェクトを過去に宣伝していた事実をWLFI側が把握していなかった可能性が浮上しており、プロジェクトのガバナンスとコンプライアンス体制に対する不信感が広がっています。
4億4,000万ドルの担保運用と「担保スクイーズ」のリスク
制束疑惑と並んで投資家の懸念を集めているのが、WLFIのトレジャリー(財務)による大規模な担保運用です。WLFIは自社トークンを担保にステーブルコインを借り入れる、4億4,000万ドル(約660億円)規模の運用を行っていたと報じられています。
この運用に関連し、4,000万ドル相当の資産が暗号資産取引所のコインベース・プライム(Coinbase Prime)に送金されたことが確認されています。トークン価格の下落に伴い、担保価値が減少することで強制的な売却が発生する「担保スクイーズ(Collateral Squeeze)」の状態に陥っている可能性が指摘されています。
これらの不透明な財務戦略と規制リスクが重なったことで、市場ではWLFIトークンを保持する理由が乏しいと判断され、売り圧力が強まったものと考えられます。
ポイント
- WLFIトークンが2025年末の公開以来の最安値となる0.0888ドルまで下落しました。
- プロジェクトのパートナーであるAB DAOを通じて、米英の制裁対象であるチェン・チー氏のネットワークとの関連が浮上しています。
- 4億4,000万ドル規模の自社トークン担保による借り入れ運用が、価格下落に伴う担保不足のリスクに直面しています。
- 政治的に注目度の高いプロジェクトにおいて、デューデリジェンスの不備やコンプライアンス上の懸念が露呈した格好となっています。
- 主要な取引所への大規模な資産移動が確認されており、今後の財務的な安定性に注目が集まっています。