英大手資産運用会社のリーガル・アンド・ジェネラル・アセット・マネジメント(L&G)は、自社の流動性ファンドをCalastone(カラストーン)が提供するトークン化流通ネットワーク「Calastone Tokenised Distribution(CTD)」上で提供開始したと発表しました。この取り組みにより、500億ポンド(約10兆8000億円以上)を超える規模の運用資産がブロックチェーン技術を通じてデジタル形式で利用可能となります。伝統的な資産運用とデジタル流通チャネルを統合する、同社のデジタル戦略における重要な節目とされています。
既存の運用体制を維持しながらデジタル市場へ接続
今回採用されたCalastoneの「CTD」ネットワークは、伝統的な投資信託商品とデジタル流通チャネルを接続するために構築された基盤です。このネットワークにより、トークンの生成、注文処理、取引の集約、照合、およびオンチェーン決済(ブロックチェーン上での取引完結)までの一連のプロセスが可能になります。
L&Gにとっての大きな特徴は、既存のファンド管理プロセスと統合されている点にあります。これにより、同社は従来の運用体制を維持したまま、新たなデジタル投資家層へのリーチを拡大できます。既存の投資家は従来通りの方法でファンドにアクセスし続けることができ、一方でデジタル投資を好む層にはトークン化された形での提供が可能となります。
500億ポンド規模の流動性ファンドが対象
トークン化の対象となるL&Gの流動性ファンドは、米ドル、ユーロ、ポンド建てで提供されており、元本保全、即日決済、そして競争力のある利回りを特徴としています。L&Gは数十年にわたり流動性ファンドを提供してきた実績があり、現在の運用資産残高は500億ポンド(1ポンド=216円換算で約10兆8000億円以上)に達しています。
カラストーンのデジタルソリューション責任者であるサイモン・キーフ氏は、トークン化が既存のファンド構造に適用可能であることを強調し、流通効率の向上とアクセス拡大を実現すると述べています。また、L&Gのロス・マクドナルド氏は、今回のローンチが投資家のアクセス方法を拡張する重要なステップであるとして、効率性の向上に期待を寄せています。
対応インフラと今後の拡張性
本プロジェクトで対応するブロックチェーンネットワークについては、まずイーサリアム(Ethereum)およびEVM(イーサリアム仮想マシン)互換チェーンが採用されました。EVM互換チェーンとは、イーサリアムのスマートコントラクトを実行できる仕組みを持つブロックチェーンを指します。
今後はさらに対応するネットワークを拡大していく予定とされており、より多様なインフラ上での流通が可能になる見込みです。これにより、異なるブロックチェーン基盤を利用する幅広い投資家に対して、L&Gの流動性戦略を提供できる環境が整いつつあります。
ポイント
- 英運用大手L&Gが、Calastoneのネットワークを活用して流動性ファンドのトークン化を開始した点。
- 運用資産500億ポンド(約10兆8000億円)超という大規模な資産がオンチェーンで利用可能になる点。
- トークンの生成から決済までを既存の管理プロセスと統合し、運用の効率化を図っている点。
- まずはイーサリアムとEVM互換チェーンに対応し、今後さらなるネットワーク拡大を計画している点。
- 伝統的な金融機関が、既存の仕組みを壊さずにデジタル投資家層へリーチするモデルケースとなる可能性がある点。