ブロックチェーン分析プラットフォームのArkham Intelligenceは、米金融大手モルガン・スタンレーが提供するビットコイン現物ETF「Morgan Stanley Bitcoin Trust(ティッカーシンボル:MSBT)」のウォレットアドレスを特定したと発表しました。これにより、同社のビットコイン保有状況や資金の出入りをオンチェーン(ブロックチェーン上)でリアルタイムに追跡することが可能になります。大手金融機関が直接発行するETFの透明性が高まることは、伝統的金融とデジタル資産の融合を象徴する出来事として注目されます。
ウォレット特定による透明性の向上
Arkham Intelligenceの報告によると、同社の分析チームはMSBTに関連するウォレットアドレスを特定し、検証を完了しました。MSBTは2026年4月8日にNYSE Arca(ニューヨーク証券取引所傘下の電子取引市場)に上場したビットコイン現物ETFです。
特定されたデータによれば、2026年4月18日時点で同ETFは約1,348 BTCを保有しており、その価値は約1億392万ドルに相当するとされています。資産の保管(カストディ)は、Coinbase CustodyおよびBNYメロン(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)が担当していることが公表されています。
低コスト戦略と急速な資金流入
MSBTは、市場参入にあたって0.14%という極めて低い経費率(運用に必要な費用の割合)を設定しました。これは、先行するブラックロックの「IBIT」(0.25%)などの競合製品と比較しても業界最安水準であり、手数料競争を加速させています。
この低コスト戦略と強力な販売網を背景に、MSBTは上場からわずか6営業日で純流入額が1億300万ドルを突破しました。これは、2024年初頭から運用されている一部の既存ビットコイン基金の累計流入額を短期間で上回るペースであり、機関投資家や高額所得者層からの強い需要を裏付けています。
伝統的金融機関による直接発行の意義
モルガン・スタンレーは、ウォール街の主要銀行として初めて独自のビットコイン現物ETFを直接発行・運用する企業となりました。同社は約1万6,000人のアドバイザーを抱え、9.3兆ドルの顧客資産を管理する巨大なネットワークを有しています。
これまでは他社製ETFの仲介が中心でしたが、自社製品を提供することで、より広範な顧客層に対してビットコインへの投資機会を直接提供することが可能になりました。また、ゴールドマン・サックスもビットコイン関連ETFの申請を行うなど、伝統的な銀行による暗号資産市場への本格参入が加速する兆しを見せています。
ポイント
- Arkham IntelligenceがMSBTのウォレットを特定したことで、大手銀行が管理するビットコイン資産の透明性が向上しました。
- 業界最安水準となる0.14%の手数料を武器に、上場後1週間足らずで1億ドルを超える資金流入を記録しています。
- ウォール街の主要銀行が自らビットコイン現物ETFを直接発行した初の事例であり、デジタル資産の制度化における大きな節目となります。
- 膨大な顧客資産を管理するアドバイザー網を通じて、従来の投資家層がビットコイン市場へ流入する窓口が拡大した点で注目されます。