米証券取引委員会(SEC)は、個人投資家のデイトレードを制限してきた「2万5000ドルのパターン・デイ・トレーダー(PDT)ルール」を撤廃しました。25年ぶりに実施されたこの規制緩和により、少額口座を持つ数百万人の個人投資家が、より柔軟に市場へ参加できるようになります。Bitwise Asset Managementの最高投資責任者(CIO)であるマット・ホーガン氏は、この変更がビットコインETF(上場投資信託)への資金流入を後押しする可能性があると分析しています。
25年ぶりの規制緩和と新たな証拠金制度の仕組み
SECは2026年4月14日、これまで少額口座の投資家に対して「5営業日以内に3回まで」と定めていたデイトレードの制限を終了しました。これに代わり、市場のリスクをリアルタイムで反映する「リスクベースの日中証拠金(Intraday Margin、IML)」制度が導入されます。
新制度では、一律の口座残高を維持するのではなく、取引時間を通じて保有ポジションをカバーできる十分な自己資本を維持することが求められます。証券会社には、証拠金リスクをリアルタイムで継続的に監視する責任が課されます。もし取引が証拠金の上限を超えた場合、証券会社は注文を即座にブロックするか、取引終了時に追証を求めることが可能です。
5営業日以内に日中の証拠金不足が解消されない場合は、新規ポジションの構築やレバレッジの拡大が90日間制限されます。ただし、不足額が1000ドル未満、または口座資本の5%未満である場合は例外として罰則の対象外となります。この新ルールは、金融業規制機構(FINRA)による最終通知から45日後に発効し、証券会社には体制整備のために最長18カ月の猶予が与えられます。
個人投資家の動向と暗号資産関連市場への影響
この規制変更を受け、個人投資家の利用が多い証券プラットフォームのRobinhood(ロビンフッド)の株価は、2026年4月17日時点で先週の安値から20%超上昇し、87ドルに達しました。市場では、個人投資家の流入と取引の活性化に対する期待が高まっています。
Bitwiseのマット・ホーガン氏は、PDTルールの撤廃によって不合理な制約が減り、ビットコインETFの取引も一定程度活性化されると予測しています。一方で、ETF市場の取引の大半は機関投資家が占めているため、個人投資家の参入による影響が極端に大きくなるわけではないとの見解も示しています。
また、RobinhoodではMarathon Digital HoldingsやMicroStrategyなどのビットコイン関連株が活発に取引されています。ホーガン氏は、伝統的な金融チャネルを通じた個人投資家の取引は増えるものの、24時間365日の稼働やDeFi(分散型金融)へのアクセスといった優位性を持つ「トークン化されたオンチェーン資産」への需要が損なわれることはないと考えています。
米国における規制の展望
今回のSECの動きは、ワシントンにおける暗号資産規制の合理化に向けた流れの一環と見られています。最近では、FDIC(連邦預金保険公社)によるルール整備や、SECによるDeFiフロントエンドに関する指針の提示など、イノベーションと保護のバランスを取る動きが続いています。
注目されているClarity Act(デジタル資産市場明確化法)について、ホーガン氏は成立の可否は不透明であるとしています。ステーブルコインの利回りやDeFiにおける保護といった課題が残っており、今後数カ月以内に進展がなければ、成立まで長期化する可能性があると指摘しています。
ポイント
- SECが25年続いたPDTルールを撤廃し、2万5000ドルの最低残高要件なしでデイトレードが可能になります。
- 新たに「リスクベースの日中証拠金制度」が導入され、証券会社にはリアルタイムでのリスク監視が義務付けられます。
- 参入障壁の低下により、Robinhoodなどのプラットフォームを通じて個人投資家によるビットコインETFや関連株の取引が活発化する見通しです。
- Bitwiseのホーガン氏は、伝統的金融を通じた取引が増えても、オンチェーン資産独自の優位性は維持されると分析しています。
- 規制の全体像としては、イノベーションを容認する合理的な方向へ進んでいるものの、Clarity Actなどの主要法案には依然として課題が残っています。