米ノースカロライナ州銀行協会、CLARITY法案におけるステーブルコインの利回り全面禁止を求める

ノースカロライナ州銀行協会(NCBA)が、米連邦議会のトム・ティリス上院議員に対し、現在議論されている「CLARITY法案」においてステーブルコインへの利回り付与を全面的に禁止するよう働きかけを行っています。銀行業界は、ステーブルコインが利回りを提供することで伝統的な銀行預金が流出し、地域金融の貸出能力が低下することを強く警戒しています。この動きは、デジタル資産の規制枠組みを巡る伝統的金融機関とWeb3業界の対立を象徴する出来事として注目されています。

銀行業界によるロビー活動の激化

米ノースカロライナ州銀行協会、CLARITY法案におけるステーブルコインの利回り全面禁止を求める

ノースカロライナ州銀行協会は、所属する銀行の従業員に対し、同州選出で上院銀行委員会のメンバーでもあるトム・ティリス議員に連絡を取るよう促しています。その主な目的は、決済用ステーブルコインの規制枠組みを定める「CLARITY法案(Clarity for Payment Stablecoins Act)」において、ステーブルコインの保有者に対する利回りや報酬の提供を、例外なく完全に禁止する条項を盛り込むよう要求することにあります。

銀行業界がこうした強硬な姿勢を示す背景には、ステーブルコインが利回りを提供することで、銀行の主要な資金源である預金が流出することへの懸念があります。米国銀行協会(ABA)などの団体は、こうした預金の流出が数兆ドル規模に達する可能性があると主張しており、その結果として地域コミュニティへの住宅ローンや中小企業融資、農業融資のための資金が不足すると警告しています。

妥協案を巡る政治的交渉と対立

現在、ティリス議員はアンジェラ・オルソブルックス上院議員とともに、ステーブルコインの利回りに関する紛争を解決するための妥協案を作成しているとされています。この妥協案では、単に資金を預けるだけで得られる「受動的な利回り(Passive Yield)」は禁止する一方で、利用や参加に応じた「活動ベースの報酬(Activity-based Rewards)」は許可する方向で検討が進められていると見られます。

しかし、ノースカロライナ州銀行協会をはじめとする銀行団体は、こうした例外さえも認めない「隙のない禁止(Airtight Prohibition)」を求めています。一方で、ホワイトハウスの経済諮問委員会(CEA)が発表した報告書では、利回りの禁止が銀行貸出を増加させる効果は限定的であるとの分析も示されており、政府の経済見通しと民間金融機関の主張の間で意見が分かれている状況です。

業界への影響と今後の焦点

この議論の行方は、米国におけるステーブルコインの定義と役割を決定づける重要な節目となります。もし銀行業界の要求通りに利回りが全面的に禁止されれば、ステーブルコインは純粋な「決済手段」としての機能に限定されることになります。一方で、何らかの報酬提供が認められれば、ステーブルコインを基盤とした新たな金融サービスの創出につながる可能性があります。

上院銀行委員会での法案審議が近づく中、伝統的な金融機関と仮想通貨業界の双方が、最終的な法案の文言を巡って激しい交渉を続けています。この法案が成立すれば、長らく不透明だった米国のステーブルコイン市場に法的根拠が与えられることになりますが、その内容は業界の競争環境を大きく左右するものになると予想されます。

ポイント

  • ノースカロライナ州銀行協会が、トム・ティリス上院議員に対しステーブルコインの利回り全面禁止を求めるロビー活動を展開しています。
  • 銀行業界は、利回り付きステーブルコインが銀行預金の代替となることで、地域金融の貸出資金が枯渇することを懸念しています。
  • 議会では「受動的な利回りの禁止」と「活動ベースの報酬の許可」を軸とした妥協案が検討されていますが、銀行業界は全面禁止を譲らない構えです。
  • ホワイトハウスの経済諮問委員会は、利回り禁止による銀行へのメリットは限定的であるとの分析を示しており、議論の争点となっています。
  • この法案の結果により、ステーブルコインが「単なる決済ツール」になるか「利回りを伴う金融商品」としての側面を持つかが決定されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用を専門とする編集チームです。Web3・ブロックチェーン領域に特化したコンサルティングファームである株式会社Pacific Metaが、国内外41カ国・150社以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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