SLASH VISION、アイキタス、オリエントコーポレーションの3社は、米ドル建てステーブルコインであるUSDCを決済原資として利用できる「Slash Card」の発行を開始しました。利用者は事前に暗号資産取引所などで法定通貨へ換金することなく、保有するUSDCをそのまま国内外のVisa加盟店での支払いに充てることができます。ステーブルコインを日常の消費シーンで活用する新たな決済インフラとして、その利便性が注目されています。
法定通貨への交換を介さないステーブルコイン決済の仕組み
Slash Cardの最大の特徴は、米ドル建てステーブルコインであるUSDC(米ドルの価値と連動することを目指した暗号資産)を、既存のクレジットカードと同じ感覚で利用できる点にあります。
従来の仕組みでは、暗号資産を決済に利用する場合、事前に取引所などで日本円などの法定通貨へ交換する手続きが必要でした。しかし、Slash Cardでは利用者が保有するUSDCをもとに直接決済処理が行われます。一方で、商品やサービスを提供する加盟店側には、従来のカード決済と同様に日本円などの法定通貨で支払いが行われる仕組みとなっています。これにより、利用者はステーブルコイン特有の複雑な操作を意識することなく、世界中のVisa加盟店で日常的な買い物に利用することが可能です。
3社による協力体制と今後の発行スケジュール
本カードの提供にあたっては、役割の異なる3社が連携しています。SLASH VISIONはプログラムマネージャー兼ブランド提供者としてカードの開発と運営を主導し、アイキタスはカード発行者として顧客管理およびシステム運営を担います。また、大手信販会社のオリエントコーポレーション(オリコ)がBINスポンサー(国際ブランドの決済ネットワークを利用するための権利を提供する役割)として参画し、Visaブランドへの対応を実現しています。
Slash Cardは2025年6月から事前申し込みの受付を開始しており、現在は申し込み済みのユーザーに対して順次発行手続きが進められています。一般ユーザー向けの申し込み受付については、2026年8月をめどに開始される予定です。
日本国内におけるステーブルコイン活用の広がり
ステーブルコインは、送金や決済の効率を高める技術として期待されてきましたが、日本国内の日常的な決済シーンで活用できる事例はこれまで限られていました。国内の先行事例としては、2025年11月にHashPortがナッジと提携し、日本円建てステーブルコインであるJPYCに対応した「HashPortカード」の発行を開始しています。
今回のSlash Cardの登場は、日本国内において米ドル建てのステーブルコインを直接的な決済手段として活用する動きを加速させる可能性があります。既存のカード決済インフラを活用することで、Web3(ブロックチェーン技術を活用した分散型ネットワーク)の利便性を一般的な消費生活に統合する試みとして、今後の普及が期待されます。
ポイント
- 米ドル建てステーブルコインのUSDCを、法定通貨へ換金せずにそのまま決済に利用できます。
- 国内外のVisa加盟店で利用可能であり、加盟店側には法定通貨で支払いが行われるため、既存のインフラをそのまま活用できます。
- SLASH VISION、アイキタス、オリエントコーポレーションの3社が連携してシステムと信頼性を構築しています。
- 2026年8月には一般ユーザー向けの申し込み受付が開始される予定であり、利用層の拡大が見込まれます。
- 日本国内で先行する円建てステーブルコイン決済に加え、米ドル建てコインの活用という新たな選択肢が提示されました。