米大手暗号資産取引所のコインベース(Coinbase)は、英国のユーザーを対象に暗号資産を担保としたローンサービスを開始しました。ビットコインやイーサリアムを売却することなく、ステーブルコインのUSDCを迅速に借り入れられる仕組みを提供します。この動きは、同社が英国で進める総合金融アプリ構想をさらに推進するものと見られます。
資産を保持したまま流動性を確保する仕組み
今回のサービスにより、英国のユーザーはビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、およびcbETHを担保として指定することで、ステーブルコインであるUSDコイン(USDC)を借り入れることができます。借入は最短1分で完了し、保有する暗号資産を売却する必要がないため、投資ポジションを維持しながら流動性を確保できる点が特徴です。借り入れたUSDCは、そのまま外部へ送金するだけでなく、英国ポンドに換金して日常の支払いに利用することも可能とされています。
Base上のMorphoプロトコルを活用したオンチェーン運用
本サービスは、イーサリアムのレイヤー2ソリューションである「Base(ベース)」上に構築された、オープンソースのレンディングプロトコル「Morpho(モルフォ)」を通じて提供されます。ユーザーの担保資産はオンチェーンのスマートコントラクト(ブロックチェーン上で契約を自動実行するプログラム)にロックされ、USDCが即座にコインベースのアカウントへ送付される仕組みです。
金利は固定ではなく、Base上の市場条件に応じて数秒単位で自動調整される変動制が採用されています。返済期限は設けられておらず、ユーザーは自身のタイミングで返済を行える柔軟な設計となっています。
英国における事業基盤の強化とリスク管理
コインベースは2025年2月に英国金融行動監視機構(FCA)への登録を完了しており、同国でのコンプライアンスを重視した事業展開を進めてきました。2025年11月の貯蓄サービス開始や2026年4月の分散型取引所(DEX)機能の導入に続き、今回のローンサービスを総合金融アプリ構想の重要な一環として位置づけています。同様のサービスは2025年1月に米国で先行して開始されており、2026年4月時点でMorphoを通じた累計貸出額は21億7000万USDCを超えていると報告されています。
一方で、暗号資産の価格変動に伴う清算リスクへの対策も導入されています。担保価値に対する借入比率(LTV)が一定の閾値を超えた場合、担保資産が売却されローン返済に充てられる可能性があります。ユーザーはアプリ上でローンの健全性を常時確認できるほか、清算リスクが高まった際にはメールやSMSで通知が送られる仕組みとなっています。
ポイント
- BTCやETHを売却せずにUSDCを借り入れ、英国ポンドでの支払いにも利用できる。
- Base上のMorphoプロトコルを活用し、最短1分で借入が完了するオンチェーンの仕組みを導入。
- 金利は市場連動の変動制で、返済期限がない柔軟な設計となっている。
- FCA登録済みの基盤を活かし、英国での総合金融アプリ化を加速させる戦略の一環としての側面を持つ。
- 価格変動による清算リスクへの対策として、リアルタイムのモニタリングと通知機能を提供している。