ニューヨーク州、CoinbaseとGeminiを提訴――予測市場が州のギャンブル法に抵触か

ニューヨーク州司法長官が、暗号資産取引所大手に関連するCoinbase Financial MarketsとGemini Titanの2社を提訴しました。両社が提供する「予測市場」サービスが、州のギャンブル法に違反しているという疑いが持たれています。連邦レベルでの認可と州レベルの規制が対立する形となっており、Web3業界における予測市場の今後の法的位置づけを左右する重要な事案と見られます。

提訴の背景と具体的な違反内容

ニューヨーク州、CoinbaseとGeminiを提訴――予測市場が州のギャンブル法に抵触か

ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は、Coinbase Financial MarketsおよびGemini Titanが、州のゲーミング委員会から必要なライセンスを取得せずに予測市場を運営しているとして、マンハッタンの州裁判所に訴状を提出しました。

報道によると、両社のプラットフォームではスポーツの試合、エンターテインメント、選挙の結果などを取引対象とする「予測市場(将来の出来事の結果を予想してバイナリコントラクトなどを取引する市場)」が提供されています。司法長官側は、これらの取引は利用者のコントロールが及ばない「運の要素」を含んでおり、ニューヨーク州法におけるギャンブルの定義に該当すると主張しています。また、州法で定められたモバイルスポーツベッティングの最低年齢(21歳)に反して18歳から20歳の利用を許可していたことや、大学キャンパスでのマーケティング活動を行っていたことも問題視されています。

連邦規制と州規制の対立

今回の提訴で焦点となっているのは、連邦法と州法の規制の整合性です。Gemini Titanについては、2025年12月に米商品先物取引委員会(CFTC)から指定契約市場(DCM)としてのライセンスを取得したとされており、連邦レベルでは規制された金融商品としての裏付けを持っていました。

しかし、ニューヨーク州側は、連邦法でデリバティブ商品として認められていても、その実態が州のギャンブル規制に抵触する場合は州法が適用されるとの立場をとっています。同様の規制動向はアリゾナ州やイリノイ州など他の複数の州でも確認されており、予測市場が「金融商品」か「違法な賭博」かという定義を巡る法的な争いが激化しています。

求められる是正措置と今後の影響

ニューヨーク州は今回の提訴を通じて、違法に得られたとされる利益の回収や、その利益の3倍に相当する民事罰金、さらに顧客への賠償を求めています。あわせて、21歳未満のユーザーによる利用の禁止や、大学キャンパス内での広告活動の差し止めも要求しています。

この裁判の結果は、米国内で拡大を続ける予測市場のビジネスモデルに大きな影響を与える可能性があります。たとえ連邦機関の認可を得ていても、州ごとのギャンブル規制によって事業が制限されるリスクが顕在化した形であり、今後のWeb3企業のコンプライアンス戦略や全国規模でのサービス展開において重要な先例となる可能性があります。

ポイント

  • ニューヨーク州がCoinbaseとGeminiの予測市場を「州法違反のギャンブル」として提訴しました。
  • 州のゲーミング委員会によるライセンスの欠如に加え、21歳未満へのサービス提供が主な違反点とされています。
  • 商品先物取引委員会(CFTC)による連邦認可と、州独自のギャンブル規制のどちらが優先されるかが法的な焦点となります。
  • 予測市場が「デリバティブ商品」か「違法な賭博」かという定義が、ビジネス継続の可否を分ける争点となっています。
  • 他の複数の州でも同様の規制強化が進んでおり、全米規模での事業展開における規制リスクが浮き彫りになっています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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