2011年に設立された老舗仮想通貨取引所Kraken(クラーケン)が、従来の仮想通貨取引の枠組みを超え、先物取引、トークン化された株式、および決済サービスを統合した総合的な金融プラットフォームへと急速に拡大しています。同社は長年にわたりビットコインのボラティリティやICOブーム、機関投資家の参入といった市場のサイクルを経験してきましたが、現在は伝統的金融(TradFi)とデジタル資産を融合させる新たなフェーズにあります。
株式投資およびトークン化株式への進出
Krakenは2025年4月、米国の一部の州(ニュージャージー州、コネチカット州、ワイオミング州など)の顧客を対象に、11,000以上の米国上場株式およびETF(上場投資信託)の手数料無料取引を開始しました。これにより、ユーザーは単一のプラットフォーム上で仮想通貨と伝統的な株式をシームレスに管理できるようになっています。
さらに、米国以外の適格な顧客向けには「xStocks」ブランドを展開しています。これは、実際の米国株式やETFに裏打ちされたブロックチェーンベースの資産であり、2025年6月の提供開始時には60銘柄、2026年初頭には100銘柄を超える米国株式・ETFがトークン化されています。この仕組みにより、従来の証券取引所の営業時間外でも、24時間365日の取引が可能となっています。
先物取引の強化と規制への対応
デリバティブ分野において、Krakenは戦略的な買収とライセンス取得を通じて基盤を固めています。2025年3月には米国の小売向け先物プラットフォーム大手NinjaTraderを15億ドルで買収し、米国での規制に準拠した先物取引への足がかりを得ました。
また、バミューダ金融庁(BMA)からデジタル資産ビジネスライセンスを取得し、同地の法人であるPayward Digital Solutionsを通じてデリバティブプラットフォームを開設しています。2026年2月には、xStocksの仕組みを活用した世界初の「規制に準拠したトークン化株式の無期限先物(Perpetual Futures)」を上場させました。これにより、米国以外の110カ国以上の顧客は、最大20倍のレバレッジをかけて、AppleやNvidiaといった主要株式やS&P 500、Nasdaq 100などの指数への投資が可能になっています。
決済・カストディと機関投資家向けインフラ
Krakenは個人投資家向けの利便性向上とともに、決済および機関投資家向けのインフラ整備も進めています。
- 決済サービス:2025年6月に決済アプリ「Krak」をリリースしました。160カ国以上での送金に対応し、300種類以上の資産をサポートしています。
- カストディ(保管)サービス:2024年に、機関投資家向けの「Kraken Custody」を米国、英国、オーストラリアで順次展開しました。ワイオミング州の銀行憲章を持つKraken Financialを通じて提供されるこのサービスは、資産を取引所から分離して安全に管理する仕組みを構築しています。
ポイント
- 仮想通貨取引所から、株式・先物・決済を網羅する総合金融プラットフォームへの転換を図っています。
- NinjaTraderやBacked Finance(xStocksの提供元)などの買収を通じて、伝統的金融資産のデジタル化を加速させています。
- バミューダや米国ワイオミング州などの規制枠組みを活用し、透明性の高いサービス提供を重視しています。
- トークン化技術により、米国株式などの伝統的資産を24時間取引可能にするなど、Web3ネイティブな投資環境を実現しています。
- 個人向け決済から機関投資家向けカストディまで、幅広いユーザー層に対応する垂直統合型のビジネスモデルを構築しています。