暗号資産マーケットメイカーのCaladanが発表した最新の報告書により、Web3ゲーム(GameFi)プロジェクトの約93%が「実質的に停止」していることが明らかになりました。これまでに同セクターには150億ドル(約2.3兆円)を超える巨額の資金が投じられてきましたが、トークン価格の暴落やユーザーの急激な離脱により、多くのプロジェクトが存続困難な状況に陥っています。このデータは、投機的な収益モデルに依存してきたWeb3ゲーム業界が極めて深刻な停滞期にあることを示しています。
93%のプロジェクトが失敗、投資資金はAIやRWAへ転換
Caladanの分析によると、調査対象となったWeb3ゲームプロジェクトの93%が、取引量の欠如や価格の暴落によって事実上の活動停止状態にあります。GameFi(ゲームと金融を組み合わせたモデル)関連トークンの価値は、2022年のピーク時と比較して平均で約95%下落しました。
この結果、投資家の関心は急速に他分野へと移っています。2022年にはWeb3向けベンチャーキャピタル投資の62.5%をゲーム分野が占めていましたが、2025年までにその割合は1桁台にまで減少すると予測されています。現在、資金の主な流入先はAI(人工知能)、RWA(実物資産のトークン化)、およびレイヤー2(ブロックチェーンの処理能力を向上させる補助ネットワーク)ソリューションへとシフトしています。
主要タイトルにおけるユーザーの激減とプロジェクトの閉鎖
かつて業界を牽引した主要なプロジェクトも、深刻な影響を受けています。
- Axie Infinity(アクシー・インフィニティ):
P2E(Play-to-Earn、遊んで稼ぐ)モデルの先駆けとして知られますが、1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)はピーク時の約270万人から、現在は約5,500人にまで激減したとされています。
- Hamster Kombat(ハムスター・コンバット):
テレグラム(Telegram)を基盤とした人気タイトルでしたが、ローンチから半年でユーザーの96%を失ったと報告されています。
- ギルドトークンの崩壊:
Yield Guild Games(YGG)などのゲームギルドに関連するトークンも、2021年のピーク時から99%以上下落するケースが見られます。
また、これまでに300以上のブロックチェーンゲームが運営を終了しました。大手企業では、スクウェア・エニックスが実験的プロジェクト「Symbiogenesis(シンビオジェネシス)」を終了させたほか、Web3ゲームの主要な支援者であるAnimoca Brands(アニモカ・ブランズ)も、ポートフォリオにおける純粋なゲーム分野への露出を約4分の1にまで縮小し、トークン化サービスやステーブルコイン関連事業へ軸足を移していると見られます。
業界が直面する構造的な課題
報告書は、多くのプロジェクトが実用的な製品を開発する前にNFTやトークンの販売を通じて巨額の資金を調達した「資金調達と実態の乖離」を問題視しています。例えば、Pixelmon(ピクセルモン)は2022年にNFT販売で7,000万ドルを調達しましたが、数年が経過しても一般公開されるゲームはリリースされていません。
また、P2Eモデルは新規ユーザーの流入がトークン価格を支える構造であったため、ユーザー成長が鈍化した瞬間に経済圏が崩壊するという持続可能性の欠如が露呈しました。Coda Labsの調査によれば、ハイプ(熱狂)のピーク時であっても実際に暗号資産ゲームを試したプレイヤーは全体の12%に過ぎず、一般のゲーマー層を取り込むには至らなかったことが示唆されています。
ポイント
- Web3ゲームプロジェクトの93%が実質的に停止状態にあり、トークン価値はピークから平均95%下落しました。
- Axie InfinityやHamster Kombatといった有名タイトルも、ユーザー数の激減や経済圏の縮小に直面しています。
- 投資資金はWeb3ゲームから離れ、AI、RWA、レイヤー2インフラといった新興分野へ流出しています。
- これまでに300以上のプロジェクトが閉鎖されており、Animoca Brandsなどの主要企業も戦略の再構築を進めています。
- 持続可能な経済モデルの欠如と、ゲームとしての楽しさよりも金融的側面を優先した構造が、現在の衰退の主な要因と見られます。