米サウスカロライナ州で暗号資産推進とCBDC利用禁止を定める新法「S.163」が成立

米サウスカロライナ州のヘンリー・マクマスター知事は2026年5月19日、暗号資産の利用推進と中央銀行デジタル通貨の利用禁止を盛り込んだ上院法案「S.163」に署名し、同法が成立しました。この法律は、州内における暗号資産の決済利用や自己保管の権利を保護し、マイニング事業への支援策を講じる一方で、行政機関による中央銀行デジタル通貨の利用や試験プログラムへの参加を禁止するものです。州議会において圧倒的多数の賛成を得て成立したこの新法は、同州が暗号資産に対して極めて友好的な規制環境を整備する姿勢を明確にしたものとして注目されています。

暗号資産の決済利用と自己保管権利の保護

米サウスカロライナ州で暗号資産推進とCBDC利用禁止を定める新法「S.163」が成立

新法「S.163」では、サウスカロライナ州内において、個人や企業が商品やサービスの支払い手段として暗号資産を受け入れることを禁止してはならないと規定されています。また、利用者がサードパーティを介さずに自身で資産を管理する自己管理型ウォレットやハードウェアウォレット(暗号資産を安全に保管するための物理的なデバイス)を使用し、暗号資産を自己保管する権利も保護されます。

さらに、暗号資産による決済を理由として、追加的な税金や課徴金を課すことも禁止されました。これにより、通常の法定通貨による取引と同様の税制上の扱いが保証され、決済手段としての暗号資産の利用が促進される可能性が考えられます。

CBDCの州内利用制限とマイニング事業への支援策

もう一つの重要な柱として、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の利用を制限する条項が盛り込まれています。州政府の機関、委員会、部局および地方自治体に対し、CBDCでの支払いを受け入れたり要求したりすることを禁止したほか、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)などの連邦機関が実施するCBDCの試験プログラム(実証実験)への参加も禁じています。

一方で、暗号資産のマイニング(取引承認作業)事業に対しては、強力な支援策が講じられています。工業用に区分された地域における差別的な規制や騒音規制を禁止し、事業者が運営しやすい環境を整えています。また、マイニングやステーキング(ネットワーク維持に暗号資産を預け入れて報酬を得る仕組み)の代行サービスは、証券の提供には該当しないと明記されました。

さらに、マイニング事業だけでなく、ノード(ネットワークの接続点)の運営やオンチェーンアプリケーションの開発といったブロックチェーンに関連する活動についても、マネートランスミッター免許(資金移動業のライセンス)の取得義務が免除されるとされています。また、同法にはブロックチェーンやデジタル資産、ステーキングなどの基本用語の定義も盛り込まれているとされています。ただし、マイニング事業者には、電力系統へ過度な負荷をかけずに運営することや、要請に応じて公共サービス委員会へ電力購入契約の写しを提出することが義務付けられています。

ポイント

  • サウスカロライナ州で暗号資産の利用を推進し、CBDCの利用を制限する新法「S.163」が知事の署名により成立しました。
  • 個人や企業が暗号資産を決済手段として受け入れる権利や、自己管理型ウォレットで自己保管する権利が法的に保護されます。
  • 州政府や地方自治体におけるCBDCの受け入れや、連邦政府によるCBDCの試験プログラムへの参加が全面的に禁止されます。
  • マイニングやステーキングの代行サービスが証券提供に該当しないと明記され、関連事業者のマネートランスミッター免許取得義務が免除されるなど、業界に友好的な規制緩和が行われます。
  • 州議会において圧倒的多数の賛成で可決された本法は、同州が暗号資産推進の立場を強固にする姿勢を明確に示した点で注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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