DeFi業界で閉鎖が相次ぐ:EverclearとZERO Networkが事業終了を発表

2026年5月、分散型金融(DeFi)分野において、主要プロジェクトの閉鎖発表が相次いでいます。今週、クロスチェーン決済プロトコルのEverclearと、暗号資産ウォレットZerionが手掛けるEthereumのレイヤー2ネットワークであるZERO Networkが、それぞれ事業の終了を発表しました。暗号資産市場全体の低迷が続くなか、両プロジェクトは異なる経営課題に直面し、持続可能な事業継続が困難になったと説明しています。

取引高5億ドルでも収益化に苦戦したEverclear

DeFi業界で閉鎖が相次ぐ:EverclearとZERO Networkが事業終了を発表

かつてConnextとして知られていたクロスチェーン決済・流動性プロトコルのEverclearは、コアユーザーインターフェース、プロトコル、財団、および研究ラボの運営を停止し、秩序ある清算プロセスを開始したと発表しました。

Everclearは、異なるブロックチェーン間で資金をリバランスするソルバーモデルを中心に構築されていました。月間取引高は5億ドルに達したものの、ユーザーの価格感応度が高く、インフラを維持する運営コストが手数料収入を上回ったため、持続可能な収益を生み出せなかったとされています。

プロジェクトは過去6ヶ月間にわたり、企業対企業対消費者(B2B2C)モデルへの転換を図り、複数の主要な業界パートナーと契約を結んでいました。しかし、パートナーの導入手続きにかかる期間を過小評価していたため、提携事業が本格的に始動する前に運営資金が尽きたと説明されています。

利用者の資産については、すでにユーザーやパートナーによってプロトコル内から引き出されており、ロックされたまま残っている資金はないとされています。未払債務を清算した後に残余財産がある場合、5万ドルから20万ドルの範囲で既存トークンであるCLEARの買い戻しを検討しているものの、確定ではないと発表されています。なお、EverclearのDAO(自律分散型組織)は運営を継続し、プロトコルをオープンソース化して他のチームにメンテナンスを引き継ぐ選択肢を模索していると報告されています。

ZERO NetworkはウォレットとAPI事業へリソースを集中

暗号資産ウォレットを提供するZerionが手掛けるEthereumのレイヤー2ネットワーク、ZERO Networkも閉鎖を発表しました。

ZERO Networkは、ユーザーがオンチェーン取引でガス代(ネットワーク手数料)を支払う必要のない環境を目指し、2024年11月にローンチされました。約1.5年間にわたり運用されてきましたが、運営チームは、独立したブロックチェーンを維持していくことはビジョンを達成するための適切な道ではないと判断したとされています。今後は、エンジニアリングリソースをコア事業であるZerionのウォレットおよびAPI開発に再集中させる計画です。

ZERO Networkへのブリッジ(入金)サービスはすでに停止されています。ユーザーは2026年7月31日までに、NFTやETH、その他のトークンを他のチェーンへブリッジアウト(引き出し)する必要があり、期日を過ぎると資産にアクセスできなくなる可能性があると警告されています。

2026年のDeFi市場における事業持続性の課題

2026年に入り、DeFiやWeb3インフラ分野での閉鎖が加速しています。今週はEverclearとZERO Networkのほかに、EthereumインフラプロバイダーのSyndica Labsや、暗号資産カードゲームのFantasy.topといったプロジェクトも相次いでサービス終了を発表したと報じられています。

これらの動向は、高い取引高や優れた技術的ビジョンがあっても、持続可能な収益構造を確立できなければ、厳しい市場環境を生き残ることは極めて難しいという業界共通の課題を浮き彫りにしています。

ポイント

  • EverclearとZERO Networkが、市場低迷や収益化の課題を理由に相次いで事業終了を発表しました。
  • Everclearは月間5億ドルの取引高を記録したものの、インフラの維持コストを上回る収益を上げられず、新規事業が本格化する前に資金が枯渇しました。
  • ZERO Networkは、運営元のZerionがウォレットおよびAPI事業へ経営リソースを集中させる戦略的転換のため、2026年7月31日をもって閉鎖されます。
  • 同週にはSyndica LabsやFantasy.topも閉鎖を発表しており、2026年のDeFi業界におけるビジネスモデルの持続可能性が改めて問われています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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