ニューヨーク州金融サービス局、連邦法に適合するステーブルコイン規則案を提示

ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)は、米ドル建てステーブルコインの規制枠組みを連邦法「GENIUS Act(ジーニアス法)」に適合させるための新たな規則案を発表しました。この規則案は、同州が2022年に提示した指針をベースに、連邦レベルの要件との整合性を高めることを目的としています。連邦法との調和を図ることで、消費者保護の徹底と市場の安定、さらには責任あるイノベーションの促進を目指す動きとして注目されます。

規則案の背景と連邦法への適合

ニューヨーク州金融サービス局、連邦法に適合するステーブルコイン規則案を提示

NYDFSが発表した規則案「Authorized Payment Stablecoin Issuers」は、2022年6月に同州が示したステーブルコイン指針を土台としています。2025年7月に署名・成立したとされる、米国初の包括的なステーブルコイン連邦法「GENIUS Act(ジーニアス法)」の下で、米財務省などが示した連邦要件との整合性を高める狙いがあります。

ニューヨーク州の仮想通貨企業向けルールは、これまでも消費者保護と市場安定に寄与してきたとされています。今回の提案により、連邦レベルの新ルールと足並みを揃え、州の規制権限を維持しつつ、安全な市場環境を整備する方針です。

準備資産の管理強化とリスク管理プログラムの義務化

新たな規則案では、1対1のドル裏付けや償還可能性、認められる準備資産、独立監査といった従来の主要要件を維持しつつ、準備資産に関する追加ルールが盛り込まれました。

具体的には、準備資産を単一のカストディアン(資産保管業者)に集中させず、複数のカストディアンに分散して保有させることや、単一のカストディアンにおける保有上限を設けることが義務化されます。また、発行体には、内部統制、情報セキュリティ、内部監査体制、資産成長や収益の管理、関連会社との取引、外部サービスプロバイダーの監督などを対象としたリスク管理プログラムの導入が求められます。

さらに、報告体制も強化され、発行体の最高経営責任者(CEO)と最高財務責任者(CFO)は、毎月の準備資産構成報告が正確であることを証明する必要があります。これに加え、登録公認会計事務所による年次の証明も義務づけられます。

大規模発行体への追加要件と禁止事項

発行済みのステーブルコインの価値が250億ドル(約4兆円、1ドル=160円換算)以上の大規模な発行体に対しては、さらなる要件が課されます。準備資産の少なくとも0.5%(上限5億ドル)を、預金保険の対象となる預金として、保険対象預金機関に保有することが求められます。

このほか、規則案には以下の行為を禁止する規定が含まれています。

  • 準備資産の再担保化(裏付け資産を別の取引の担保に設定すること)
  • 誤解を招くマーケティング
  • ステーブルコインが保険対象であるとする虚偽表示
  • ステーブルコインへの利息支払いの禁止

今後のスケジュール

本規則案は、2026年6月9日から10日間の事前コメント期間が設けられています。その後、州の官報に掲載された後に60日間の正式な意見募集が行われる予定です。

ポイント

  • ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)が、米ドル建てステーブルコインの規制枠組みを連邦法「GENIUS Act」に適合させる新たな規則案を発表しました。
  • 従来の1対1のドル裏付けなどの要件を維持しつつ、準備資産を複数のカストディアンに分散して保有させるなど、リスク管理のルールが強化されています。
  • 発行済みの価値が250億ドル以上の大規模な発行体には、準備資産の一部を預金保険対象の預金として保有することが義務付けられます。
  • 準備資産の再担保化や誤解を招くマーケティング、ステーブルコインへの利息支払いが禁止されます。
  • この規則案は、連邦レベルの厳しい規制要件と州の枠組みを調和させ、Web3ビジネスにおけるコンプライアンスの標準化を進める上で重要なマイルストーンとなる可能性があります。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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