米司法省(DOJ)は、2021年以降に3億8900万ドル(約10,333 BTC)以上の暗号資産マネーロンダリングに関与したとされるサービス「AudiA6」の運営者2名を起訴しました。この摘発は、多国籍の法執行機関による大規模な共同捜査によって実現したものです。Web3業界のビジネスパーソンにとって、国際的な規制強化とブロックチェーン分析技術の進化を示す重要な事例となります。
国際的な共同捜査によるインフラの解体と逮捕
米ペンシルベニア州東地区連邦地検などの発表によると、ジョージア共和国のバトゥミに居住するウクライナ国籍のルスラン・イゴレビッチ・トカチュク(37)と、ロシア国籍のアレクサンダー・ウラジミロヴィッチ・レデネフ(25)の2名が逮捕・起訴されました。両容疑者はマネーロンダリングの共謀などの疑いを受けており、現在はジョージア当局に拘留され、米国への引き渡し手続きを待っているとされています。
今回の摘発は、米国のシークレットサービスや内国歳入庁刑事捜査部門(IRS-CI)、ユーロポール(欧州警察機構)、ユーロジャスト(欧州司法機構)に加え、日本、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、英国などを含む10か国以上の国際的な法執行機関が連携した並行捜査の成果とされています。捜査の一環として、米国、アイスランド、ドイツ、フランスなどにあるサーバーやドメインが押収されたほか、関連するTelegramアカウントのブロックや、暗号資産の凍結が実施されました。
「AudiA6」の仕組みとダークウェブでの宣伝活動
起訴状によると、容疑者らは「AudiA6」の上級メンバーであり、サイバー犯罪フォーラムである「Dark2Web」も管理していたとされています。彼らはこのフォーラム上で、犯罪行為に由来する追跡可能な暗号資産の出所を隠蔽・偽装するサービスを宣伝し、マネーロンダリングのサービス料として最大5%の手数料を徴収していたとされています。
顧客が不法に得た暗号資産を「AudiA6」側が管理するウォレットに送金すると、複雑な取引チェーンを通じて、出所が「洗浄」された資金が顧客へ返還される仕組みになっていたとされています。
ブロックチェーン分析が明らかにした資金の流れ
法執行機関が実施したブロックチェーン分析により、「AudiA6」がサービスを開始した2021年以降、同サービスに関連するウォレットに約10,333 BTC(取引時点の価値で約3億8,900万ドル以上)が預け入れられていたことが判明しました。
このうち、約393.39 BTC(約1,920万ドル相当)は、既知のダークネット市場やランサムウェアグループ、サイバー犯罪サービスなどの不法な発信源から直接送金されたものでした。これは全体の4%未満に過ぎず、残りの資金は間接的な不法ルートから入金されていました。このことから、顧客が「AudiA6」に資金を送る前に、あらかじめ複数のアドレスを経由させるなどの階層化(レイヤリング)を行っていた可能性が示唆されています。
ポイント
- 大規模なマネーロンダリングサービスの摘発:2021年以降、約3億8900万ドル(約10,333 BTC)以上の暗号資産を洗浄したとされるサービス「AudiA6」が解体されました。
- 国際的な捜査体制の強化:米国、ユーロポール、ユーロジャストに加え、日本を含む10か国以上の捜査機関が連携した並行捜査が功を奏した点で注目されます。
- 高度なブロックチェーン分析の活用:直接的な送金だけでなく、間接的な不法ルートからの入金をあぶり出すなど、ブロックチェーン分析が犯罪捜査において極めて重要な役割を果たしていることが示されました。
- Web3ビジネスへの影響:規制当局や法執行機関による暗号資産の追跡・監視能力が向上しており、業界全体のコンプライアンス遵守の重要性が改めて浮き彫りとなっています。