Citiが非公開株のデジタル預託証券をローンチ、SIXブロックチェーンを活用

金融大手のCitiは2026年6月11日、非公開スタートアップ企業の株式をトークン化し、株式のように購入可能にするデジタル預託証券の提供を開始したと発表しました。この仕組みは、スイスのSIX Digital Exchangeが運営する規制下のブロックチェーンインフラを活用しています。機関投資家や富裕層の投資家に対して、従来よりも透明性が高く、管理しやすい方法で非公開企業への投資機会を提供することが目的です。これにより、これまで流動性の低かったプライベート市場における取引の効率化や、デジタル資産のさらなる普及につながる可能性があります。

監修:ブロックチェーンマガジン編集部

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デジタル預託証券の仕組みと特徴

本サービスは、従来の外国株式取引で用いられていた預託証券の仕組みを非公開企業の株式に適応させたものです。Citiが単一の発行体および保管機関(カストディアン)となり、SIXのブロックチェーン上でデジタル預託証券を発行して安全に管理します。

投資家は直接の株式ではなく、Citiが発行するデジタル証券を受け取る形になります。これにより、従来の特殊目的会社(SPV)やオフショアでのプレIPOトークンモデルで課題となっていた、実際に何を所有しているのか不透明であるというリスクや、不透明な手数料、複数の中間業者が介在する複雑さを排除できるとされています。

初回取引の実施と今後の展開

今回のローンチに伴い、最初の取引が実施されました。対象となったのは、Citi Venturesが支援し、Swiftや大手銀行をクライアントに持つ機関向けのトークン化・デジタル資産プラットフォームであるKaleidoの株式です。CitiのWealth部門の顧客が、このトークン化された株式に投資を行いました。

このサービスは、まずは米国以外の投資家向けに提供が開始され、取引手数料や維持手数料が発生します。今後は米国での提供も計画されているほか、Citiは複数の大手非公開企業とも導入に向けた協議を進めているとされています。また、このインフラは他の金融機関も導入できるように設計されており、業界標準となることを目指していると見られます。

業界への影響と意義

IPOまでの期間が長期化する中、SpaceXやAnthropicといった大手スタートアップ企業の上場遅延により、投資家の間ではプレIPO段階の非公開企業株式へのアクセス需要が高まっています。

今回の取り組みにより、投資家は従来の一般公開株式と同じ投資環境や同一の口座内で、トークン化された非公開企業の持分を併せて管理することが可能になります。既存の金融インフラとブロックチェーン技術を融合させることで、プライベート市場全体の流動性向上や、伝統的金融機関におけるデジタル資産の本格的な導入を後押しする可能性があります。

ポイント

  • Citiがブロックチェーンを活用した非公開スタートアップ株式のデジタル預託証券をローンチしました。
  • 従来のSPVモデルなどと比べ、Citiが一元的に発行と保管を担うことで、不透明な手数料や複雑な中間構造を排除し、透明性の高い取引を実現する点で注目されます。
  • 初回の取引として、Citiのポートフォリオ企業であるトークン化プラットフォームKaleidoの株式取引が実施されました。
  • 今後は米国市場への展開や他の金融機関へのインフラ提供も視野に入れており、プライベート市場の取引効率化を大きく前進させるものとして期待されます。
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