世界最大の資産運用会社であるブラックロックが、オプション取引の収益を分配する新しいビットコインETF(上場投資信託)「iShares Bitcoin Premium Income ETF」(ティッカー:BITA)の上場に向けて手続きを進めていることが明らかになりました。同ファンドは、ビットコイン現物ETFの保有とコールオプションの売却を組み合わせることで、投資家に安定したインカムゲイン(分配金などの保有から得られる収益)を提供する仕組みです。手数料を既存の競合ファンドよりも低く設定しており、大手金融機関との競争が激化する中で、早ければ6月18日にもナスダックで取引が開始される可能性があると注目されています。
カバードコール戦略を用いたインカムゲイン獲得の仕組みとトレードオフ
今回上場が近づいている「BITA」は、ビットコインと、ブラックロックが提供する現物ビットコインETF「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」のシェアを保有する設計となっています。そのうえで、保有するIBITのシェアに対して毎月コールオプション(あらかじめ決められた価格で資産を購入する権利)を売却し、その対価として得られるプレミアム(オプション料)を投資家への分配金の原資とする仕組み(カバードコール戦略)を採用しています。
この戦略は、投資家に対して比較的安定した収益をもたらす一方で、ビットコインの急激な価格上昇時には値上がり益が一部制限されるというトレードオフがあります。ファンドは、資産価値の25%から35%に相当する部分についてコールオプションを売却する方針を示しており、急騰時の利益の一部を譲る代わりに、安定した分配金を受け取る選択肢を投資家に提供します。
競合を下回る手数料設定と先行上場に向けた動き
「BITA」の大きな特徴の一つは、その手数料水準にあります。ブラックロックが設定したスポンサー手数料は0.65%となっており、通常の現物ビットコインETF(IBITなど)と比べると高めですが、先行する競合のカバードコール型ビットコインETFである「YBTC」の0.95%や「BTCI」の0.99%を下回る水準です。この低価格な手数料設計は、市場における強力な優位性になると見られます。
上場のスケジュールについては、ブラックロックがSEC(米証券取引委員会)に対して「8-A」(取引所への上場申請に必要な登録届出書)を提出したことが確認されました。専門家によれば、この書類の提出は通常1週間以内の上場を意味しており、早ければ6月18日にも取引が開始される可能性があります。7月1日ごろにゴールドマン・サックスのビットコイン関連ファンドが有効化される見通しであることから、ブラックロックは先行して市場に参入し、主導権を確保する狙いがあると見られます。
ポイント
- ブラックロックが、コールオプションの売却益を分配する新しいビットコインETF「BITA」の上場手続きを進めています。
- 資産の25%から35%に対してコールオプションを売却する戦略により、上昇時の利益を一部制限する代わりに、安定した分配金を得るという選択肢を投資家に提示する点で注目されます。
- スポンサー手数料は0.65%に設定されており、先行する競合ファンド(YBTCの0.95%、BTCIの0.99%)よりも低コストで提供されるため、市場での競争力が高まる可能性があります。
- 上場に必要な「8-A」届出書が提出されたことから、ゴールドマン・サックスなどの競合に先んじて、早ければ6月18日にもローンチされると見られます。