元SEC・CFTC委員長のゲンスラー氏、スポーツ予測市場に対するCFTCの規制権限に反対する意見書を提出

前米国証券取引委員会(SEC)および商品先物取引委員会(CFTC)委員長であるゲーリー・ゲンスラー氏は、スポーツ予測市場の規制権限を巡る裁判において、各州の規制権限を支持する意見書(アミカスブリーフ)を連邦控訴裁判所に提出しました。ゲンスラー氏は、2010年のドッド・フランク法はスポーツ賭博を合法化しておらず、こうした市場はCFTCではなく各州の賭博法によって規制されるべきだと主張しています。この出来事は、急成長する予測市場の法的定義や、今後のWeb3関連サービスにおける規制のあり方に影響を与える可能性があるとして注目されています。

ゲンスラー氏の意見書提出と主な主張

元SEC・CFTC委員長のゲンスラー氏、スポーツ予測市場に対するCFTCの規制権限に反対する意見書を提出

2026年6月11日、ゲーリー・ゲンスラー氏は米連邦第6巡回区控訴裁判所に対し、スポーツ予測市場の規制に関する意見書を提出しました。ゲンスラー氏は過去にCFTC委員長(2009年から2014年)およびSEC委員長(2021年から2025年)を歴任しており、金融規制の専門家としてこの議論に参加した形です。

ゲンスラー氏の主な主張は、スポーツ予測市場が提供する契約は連邦法上のデリバティブ取引(スワップ)には該当しないという点にあります。同氏によると、2010年に制定された金融規制改革法(ドッド・フランク法)は金融危機後の複雑なデリバティブを規制するために設計されたものであり、全米のスポーツ賭博を合法化したり、CFTCにその管理権限を与えたりする意図は議論されていなかったとされています。また、デリバティブ取引は本来「経済的リスクのヘッジ」を目的としていますが、スポーツの勝敗に賭ける行為はリスクヘッジではなく単なる投機(ギャンブル)であるため、CFTCの管轄外であると主張しています。

Kalshiとオハイオ州の法的紛争の背景

今回の意見書は、予測市場プラットフォームであるKalshi(カルシ)とオハイオ州との間で繰り広げられている法的紛争に関連して提出されました。

Kalshiは2025年1月にスポーツイベント契約の提供を開始しましたが、これに対しオハイオ州などの規制当局がサービスの差し止めを求めて対立しました。Kalshi側は、自社のスポーツ関連契約はCFTCの監督下にある取引であり、州による独自の規制は不当であると訴えています。

この裁判において、オハイオ州を支持する立場から、ゲンスラー氏のほかにも39の州およびコロンビア特別区の司法長官、複数の先住民族ゲーミング協会、アメリカ・ゲーミング協会(AGA)などが同様の意見書を提出しています。これらの団体は、Kalshiのようなプラットフォームが連邦規制を盾にして州の賭博法を回避することは、伝統的な州の警察権や先住民族の主権を侵害し、年間1650億ドル規模とされるスポーツ賭博市場から得られる州や部族の税収を減少させるリスクがあると主張しています。

予測市場とビジネスへの影響

この法的対立の結果は、予測市場全体のビジネスモデルや規制環境に大きな影響を与える可能性があります。

もし裁判所が連邦規制機関であるCFTCの管轄権を認めた場合、Kalshiなどの予測市場プラットフォームは、連邦政府の単一の監督下で全米において比較的自由にサービスを運営できるようになると見られています。一方で、各州は予測市場から得られる独自の税収を失うことになります。

逆に、州の規制権限が認められた場合、予測市場プラットフォームはサービスを展開する各州の賭博法に従って個別に登録やライセンス取得を行う必要があり、場合によっては一部の州で運営が制限されるなどの課題に直面する可能性があります。予測市場は暗号資産やWeb3の分野でも関心の高いテーマであるため、この判決は今後のデジタル資産や予測プラットフォームの法的地位を左右する重要な先例となる可能性があります。

ポイント

  • 前SECおよびCFTC委員長のゲーリー・ゲンスラー氏が、スポーツ予測市場に対するCFTCの管轄権に反対し、州の規制権限を支持する意見書を提出しました。
  • ゲンスラー氏は、2010年のドッド・フランク法はスポーツ賭博を合法化しておらず、予測市場の契約は経済的リスクのヘッジではないためデリバティブには該当しないと指摘しています。
  • この問題は、予測市場プラットフォーム「Kalshi」とオハイオ州の間の訴訟を発端としており、多くの州政府やゲーミング業界団体がオハイオ州側を支持しています。
  • 裁判の判決は、予測市場が連邦政府の単一規制下で運営可能になるか、それとも各州の個別の賭博法に従う必要があるかを決定づけるため、業界の今後のビジネス展開に大きな影響を与える点で注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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