カルダノの創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏は、プロジェクト初期の資金調達に関連して行方が議論されている1,096ビットコイン(現在価値で約7,000万ドル相当)について、2016年に実施されたクラウドセールの監査費用として支払われたものであると説明しました。この問題は、暗号資産の債権投資家であるトーマス・ブラジエル氏が、カルダノの初期組織に関する調査を行う中で提起したものです。ホスキンソン氏は当時のビットコイン価格をもとに、監査人3名への約40万ドルの支払いに充てられたと主張していますが、ブラジエル氏はその具体的な証拠の提示を求めています。
1,096ビットコインの行方を巡る経緯と疑問
カルダノは2015年から2017年にかけて実施されたクラウドセールにおいて、合計108,844.5ビットコインを調達しました。このうち、スイスに設立されたカルダノ財団に約7,168ビットコインが、イギリス領マン島に設立された前身のエンティティに約1,090ビットコイン(ソースにより1,096ビットコインとも記載)が配分されていました。
しかし、このマン島のエンティティが2025年12月に解散した際、配分されていたビットコインの最終的な行先が公的な記録から確認できないことが、暗号資産の債権・請求専門家であるトーマス・ブラジエル氏の調査によって明らかになりました。ブラジエル氏は詐欺などの不正行為を直接告発しているわけではないものの、ガバナンスの透明性を確保する観点から、これら資金の行方について明確な説明を求めていました。
ホスキンソン氏による2016年の監査費用という説明
これに対し、カルダノの創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏はライブ配信を通じて詳細な経緯を説明しました。ホスキンソン氏によると、議論の対象となっている資金は、2016年3月に当時のカルダノ財団会長であったマイケル・パーソンズ氏から送られたメールに端を発しています。
当時、日本国内の投資家を中心に約6,200万ドルを調達したクラウドセールにおいて、不正や乱用がないかを検証するため、3名の監査人(マイケル・パーソンズ氏、ジョン・マグワイア氏、ブルース・ミリガン氏)による監査が実施されました。ホスキンソン氏は、2016年3月13日時点のビットコイン価格が約414ドルであったことを指摘し、1,096ビットコインは当時の価値で約40万ドルに相当し、これが監査人への正当な報酬として支払われたと主張しています。
証拠の提示を求めるブラジエル氏とガバナンスへの懸念
ホスキンソン氏の説明に対し、調査を主導するブラジエル氏は納得せず、支払いを証明する具体的な領収書などの開示を求めています。
かつて監査費用として支払われた約40万ドル相当のビットコインは、現在の価格に換算すると約7,000万ドルの価値に膨れ上がっているため、コミュニティや市場関係者の関心を引き続けています。また、報酬を受け取ったとされるマイケル・パーソンズ氏は、透明性やガバナンスの欠如を理由に、2018年にカルダノ財団の会長職を辞任に追い込まれた経緯があります。
ブラジエル氏はこの問題を、初期のカルダノにおけるガバナンス構造や、ホスキンソン氏が関与する他のエンティティとの潜在的な利益相反を明らかにするための重要な論点と位置づけています。
ポイント
- カルダノ初期の資金調達でマン島組織に配分された1,096ビットコイン(現在価値約7,000万ドル)の行方が議論を呼んでいます。
- 創設者のチャールズ・ホスキンソン氏は、2016年当時のクラウドセールにおける監査人3名への報酬(当時約40万ドル相当)として支払われたと説明しました。
- 調査を提起したトーマス・ブラジエル氏は、説明を裏付ける具体的な領収書やガバナンス記録の開示を要求しています。
- 監査報酬を受け取ったとされる当時の財団会長は、後にガバナンス不全を理由に辞任しており、過去の資金管理の透明性が問われています。
- 本件は、Web3プロジェクトにおける初期ICO資金の使途と、長期的なガバナンスの説明責任の観点から業界で注目されています。