ビットコインマイニングからAIインフラプロバイダーへの事業転換を進めるIREN(アイレン)は、2026年6月15日、スペインを拠点とするAIデータセンター開発企業Ingenostrum, S.L.(通称Nostrum Group)の買収を完了したと発表しました。この買収により、IRENは欧州市場への参入を果たし、事業ポートフォリオに約490MWの確保済み送電網接続電力容量を追加します。マイニング企業がAI分野へ戦略転換を図るトレンドが続く中、今回の買収は同社のグローバルなインフラ拡大を加速させる重要な動きとなります。
欧州市場への参入と約490MWの電力容量確保
IRENが買収を完了したNostrum Groupは、スペインを拠点にAIデータセンターの開発を手がける企業です。今回の買収は、IRENにとって欧州市場への初の参入を意味します。
この買収を通じて、IRENの事業ポートフォリオには約490MWの確保済み送電網接続電力容量が加わることになります。また、開発、エンジニアリング、建設、運営といった各部門に携わる50人以上の現地従業員もそのまま引き継がれます。
IRENの共同創業者兼共同CEOであるDaniel Roberts(ダニエル・ロバーツ)氏は、欧州をAIインフラ市場において最大かつ最も急速に成長している市場の1つと評価しています。その上で、スペインは豊富な再生可能エネルギー源と強力な光ファイバー接続を備えており、欧州における最も魅力的な参入拠点の1つであると述べています。
グローバルで進むデータセンター網の拡大計画
IRENは、AIクラウド基盤の拡大に向けて世界規模でのインフラ投資を強化しています。
今回のスペイン企業の買収に先立つ2026年6月3日、同社はオーストラリアで初となるデータセンターキャンパス計画を発表しました。南オーストラリア州バンディーにおいて、800MW規模のデータセンターキャンパスを支える送電網接続契約を締結したことを明らかにしています。このプロジェクトは、規制当局の承認などを前提に、2028年以降の通電開始を見込んでいます。
さらに、同社は2026年5月16日に、AIクラウド基盤の拡大に向けた資金確保を目的として、4700億円超の転換社債の発行完了を発表しており、グローバル展開を支える資金基盤の構築も並行して進めています。
マイニング業界におけるAIインフラへの戦略転換の潮流
暗号資産業界では、ビットコインマイニング企業がAIデータセンターやAI事業へと戦略を転換する動きが活発化しています。
例えば、マイニング企業であるCangoがAI事業への転換のために保有する4451BTCを売却したことや、MARAにおけるAIデータセンターを巡る戦略転換などが報じられています。
マイニング企業が確保している送電網接続などの電力アセットは、急成長するAIインフラの需要に対応するための強力な基盤になると見られており、IRENによる今回の欧州参入も、こうした業界全体のビジネスモデル転換の流れに沿ったものと考えられます。
ポイント
- ビットコインマイニングからAIインフラプロバイダーへの転換を進めるIRENが、スペインのAIデータセンター開発企業Nostrum Groupの買収を完了しました。
- この買収によりIRENは欧州市場に参入し、約490MWの確保済み送電網接続電力容量と50人超の専門従業員を獲得しました。
- 2026年6月3日にはオーストラリアで800MW規模のデータセンター計画を発表しており、グローバルなデータセンター網の拡大を急ピッチで進めています。
- 2026年5月に4700億円超の転換社債を発行して資金を確保するなど、AIクラウド基盤の強化に向けた積極的な投資を行っています。
- 豊富な電力アセットを持つビットコインマイナーが、需要が急増するAIインフラ分野へ事業転換する業界トレンドを裏付ける重要な動きとして注目されます。