本文へスキップ
ブロックチェーン総研by Pacific Meta

三菱UFJ銀行やJPモルガンなど5機関がGL1 Orgを設立。トークン化資産の共通標準策定と普及を進める方針

三菱UFJ銀行や米JPモルガンなど金融大手5機関は2026年11月4日、シンガポールを拠点とする非営利組織「Global Layer One Organisation(GL1 Org)」の設立を発表しました。同組織は、トークン化された証券や預金を異なる取引基盤の間で扱えるようにするため、共通標準の策定と普及を推進します。シンガポール金融管理局(MAS)主導で始まった枠組みが民間主導へ移行した形であり、異なる基盤間におけるデジタル資産取引の実用化に向けた重要なステップになると見られます。

オンチェーン金融の動きは、総研プライムの週刊レポート「今週のオンチェーン金融」で毎週追っています。最新号を読む(初月無料)

オンチェーン金融の事業検討について、Pacific Metaに相談できます。支援内容を見る

監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

異なる取引基盤をつなぐ共通標準の策定と2つの指針

GL1 Orgの設立メンバーには、三菱UFJ銀行のほか、JPモルガンのブロックチェーン事業部門であるKinexys(キネクシス)、HSBC、仏ソシエテ・ジェネラル傘下のSociete Generale-FORGE、英Standard Chartered(スタンダードチャータード)が名を連ねています。

同組織の目的は、トークン化された証券や預金といった資産を複数の取引基盤上で円滑にやり取りできるようにすることです。その実現に向けて、すでに公表されている以下の2つの指針を改良し、利用を広げていく計画です。

1つ目は、取引基盤を運営する事業者が、リスク管理などの体制を国際基準に沿って点検するための指針です。2つ目は、取引相手の本人確認が完了しているかなどをシステム上で確認し、資産を安全に移転できるかどうかを判定する仕組みの設計指針です。

組織では現在、各国・地域の金融機関や政策当局、取引基盤の運営事業者に対して広く参加を呼びかけています。

規制当局主導から業界主導への移行と広がる相互運用の取り組み

今回の組織設立の土台となったのは、シンガポール金融管理局(MAS)が2023年に立ち上げた「Global Layer One(GL1)」です。同プロジェクトは、トークン化資産の国境を越えた取引を支援する目的で金融機関などとともに開始されましたが、GL1 Orgの発足により、今後は金融業界が主導する組織へと運営体制が移行します。

トークン化資産を巡っては、取引基盤や台帳をまたぐ決済の仕組みづくりが国際的に進められています。国際銀行間通信協会(SWIFT)も2026年7月9日に、三菱UFJ銀行を含む17行が共有台帳を活用し、トークン化預金を用いた国際決済の試験運用に向けて準備を進めていると発表しました。この取り組みでは、各銀行が独自の台帳で管理するトークン化預金を活用し、銀行間での資金移動を検証しています。

このように、個別ブロックチェーンの枠を超えて資産や資金をやり取りする標準化の動きは、金融機関による本格的なインフラ構築の段階に入りつつあると考えられます。

ポイント

  • 三菱UFJ銀行やJPモルガンのKinexysなど5機関が、シンガポールに非営利組織「GL1 Org」を設立しました。
  • 異なる取引基盤でトークン化証券や預金を扱えるよう、共通標準の策定と普及を目指す点で注目されます。
  • リスク管理体制の国際基準点検指針と、本人確認などをシステムで検証して資産移転を判定する設計指針の改良・普及を進める方針です。
  • シンガポール金融管理局(MAS)が2023年に始めた取り組みが、金融業界主導の推進体制へと移行した点で重要な節目となります。
  • SWIFT主導の17行によるトークン化預金の国際決済試験など、台帳を越えた相互運用の実証と連動する動きとして位置づけられます。

記事を検索する