自民党が次世代のAI・オンチェーン金融構想PTを発足。AIとブロックチェーンの融合による金融変革を目指す

自民党のデジタル社会推進本部の下に、新たなプロジェクトチーム「次世代のAI・オンチェーン金融構想PT」が発足します。このPTは、ブロックチェーン上であらゆる資産を一体的に流通させるオンチェーン金融と、AI(人工知能)の融合を軸に、日本の金融システムの将来像を策定することを目的としています。政治主導で法制度やインフラの課題を整理し、ホワイトペーパー(政策提言書)としてまとめることで、社会実装の加速を目指す狙いがあります。

オンチェーン金融とAIエージェントが拓く次世代のビジョン

自民党が次世代のAI・オンチェーン金融構想PTを発足。AIとブロックチェーンの融合による金融変革を目指す

オンチェーン金融とは、株式や不動産、預金といったあらゆる資産をデジタル化し、ブロックチェーン上で直接取引・決済する仕組みを指します。本PTの発起人である平将明衆議院議員は、このブロックチェーン技術とAIエージェント(自律的に判断し実行するAI)の組み合わせが、金融分野に最も大きな付加価値をもたらすと指摘しています。

この構想では、AIが人を介さず自律的に取引や決済を担う世界が想定されており、平氏は「5年10年先の話ではなく、数年以内に起こる変化だ」と強調しています。国内ではすでに、円建てステーブルコイン(法定通貨と価値が連動するデジタル通貨)であるJPYCの発行や、ゆうちょ銀行によるDCJPY(ブロックチェーン上で扱うトークン化預金)の導入検討など、個別の技術実装が進んでいます。本PTは、これら個別の要素を接続し、一つの金融システムとして成立させるための全体像を描く役割を担います。

政治主導による制度設計と当局への働きかけ

オンチェーン金融の実現には、信託法や預金保険制度、KYC(本人確認)など、多岐にわたる法制度の整理が必要となります。平氏は、各省庁に任せるだけでは役割分担が曖昧になり、議論が進まない懸念があるとして、政治が先行してビジョンを示す意義を説いています。

PTの座長には財務省出身で金融とテクノロジーに精通する木原誠二衆議院議員、事務局長には村井英樹衆議院議員が就任します。実務に精通した議員が主導することで、金融庁や財務省といった当局側に緊張感を持たせ、制度改革を迅速に進める体制を整えています。作成されるホワイトペーパーの内容は、自民党の成長戦略や政府の「骨太の方針」への反映を目指しており、国家戦略として位置付けることで民間の投資判断を後押しする狙いがあります。

伝統的金融機関の課題と産業界への波及効果

オンチェーン金融への移行において、伝統的な金融機関には「二重投資」という構造的な課題が存在します。既存の勘定系システムを維持しながら、ブロックチェーンを前提とした新インフラにも投資しなければならないため、経営判断が難しくなる側面があります。政治が明確な将来像を示すことで、こうした大企業の意思決定を支援する効果が期待されます。

また、この変革は金融機関だけでなく、一般企業にも大きなメリットをもたらすと見られます。例えば、決済の即時化や支払い業務の自動化が進めば、入金までのタイムラグが短縮され、特に中小企業の資金繰りの効率化に寄与する可能性があります。決済コストの削減が、金利などの形で利用者に還元されることも期待されています。

ポイント

・AIとブロックチェーンの融合による、人を介さない自律的な金融取引(オンチェーン金融)の社会実装を目指しています。

・政治主導でホワイトペーパーを策定し、省庁横断的な制度課題(信託法や預金保護など)を整理する方針です。

・伝統的な金融機関が直面する既存システムと新技術への「二重投資」の課題に対し、国家戦略としての方向性を示すことで民間投資を促します。

・決済の即時化や自動化を通じて、中小企業の資金繰り改善や利用者のコスト削減につながる点が注目されます。

・初会合は4月24日に予定されており、数年以内の実現を見据えたスピード感のある議論が行われる見通しです。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用を専門とする編集チームです。Web3・ブロックチェーン領域に特化したコンサルティングファームである株式会社Pacific Metaが、国内外41カ国・150社以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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