米証券取引委員会(SEC)のトレーディング・マーケッツ部門スタッフは、暗号資産の取引準備に用いられるユーザーインターフェース(UI)提供者の登録義務に関する見解を公表しました。一定の条件を満たす場合、証券取引法に基づくブローカーディーラー(有価証券の売買を仲介する業者)としての登録を不要とする方針が示されています。この声明は、セルフカストディ型ウォレットを通じた取引技術に対して連邦証券法をどのように適用するかを明確化するもので、業界の技術開発におけるコンプライアンスの指針となる可能性があります。
ブローカー登録が不要となるための具体的な条件
SECスタッフの見解によると、ウェブサイト、ブラウザ拡張機能、モバイルアプリなどを通じて取引UIを提供する事業者が、以下の条件を満たす場合にはブローカー登録を行わなくても異議を唱えないとしています。
まず、UIがユーザーに対して取引条件の自由な設定を認めていることが求められます。特定の取引を推奨したり勧誘したりすることは禁止されており、価格や取引経路などの情報を提示する際には、客観的かつ検証可能な基準を用いる必要があります。
また、特定の取引プラットフォームと提携関係がある場合は、その事実を明確に開示しなければなりません。複数の取引経路を提示する機能を持つ場合には、価格や速度といった客観的な要素に基づいてフィルタリングや並び替えを行い、特定の経路を「最良」と評価するような主観的なコメントを避けることが条件とされています。
対象となる範囲と運用期間
今回の見解の対象は、ユーザーがセルフカストディ型ウォレット(ユーザー自身が秘密鍵を管理する形式のウォレット)を用いて取引を行う際に、ユーザーの指定した条件をブロックチェーン上で実行可能なコードに変換し、署名や送信を可能にするUIです。
一方で、今回の措置は限定的なものであり、投資助言、取引の執行、資産の管理といった機能を提供する場合には、引き続きブローカー登録が必要になる可能性があるとされています。また、UI提供者はサイバーセキュリティ対策や利益相反の管理、取引情報の保護に関するポリシーを整備し、手数料や潜在的なリスクについてユーザーへ継続的に開示する義務を負います。
なお、この声明は暫定的な位置づけであり、2026年4月13日から5年後に自動的に失効する可能性があると明記されています。SECは今後、市場からのフィードバックや規制の検討状況を踏まえ、最終的な枠組みを形成していく見通しです。
ポイント
- セルフカストディ型ウォレット向けの取引UI提供者が、特定の条件を満たすことでブローカー登録を免除される可能性が示されました。
- 登録免除のためには、特定の取引を推奨せず、客観的な情報提示と透明性のある情報開示を維持することが求められます。
- UI提供者には、サイバーセキュリティ対策や利益相反の管理といった、ユーザー保護のための厳格なポリシー整備が義務付けられています。
- この見解は2026年4月13日から5年間の期限付きである可能性があり、将来的な規制枠組みの構築に向けた暫定的な措置と見られます。