米国のデジタル資産トレジャリー企業であるBitmine Immersion Technologies(以下、Bitmine)は、2026年2月28日締めの四半期決算で38億1800万ドルの純損失を計上しました。この損失の大部分は保有するイーサリアム(ETH)の含み損によるものですが、同社はETHを「有事の価値保存手段」と位置づけ、強気な買い増し姿勢を崩していません。総供給量の5%保有を目指す独自戦略の進捗が、Web3業界のビジネスパーソンにとっても注目の焦点となっています。
巨額の含み損を計上する一方、ステーキング収益は大幅増
BitmineがSEC(米証券取引委員会)に提出した報告書(Form 10-Q)によると、同期の純損失38億1800万ドルのうち、約37億7500万ドルがETHなどの暗号資産による含み損(保有資産の市場価格が取得原価を下回ったことによる評価損)でした。
一方で、売上高は前年同期の約151万ドルから約1104万ドルへと大幅に増加しています。特筆すべきは、その売上高の約92%にあたる1020万1000ドルがETHのステーキング収入(ネットワークのバリデータとして寄与することで得られる報酬)で占められている点です。多額の評価損を抱えつつも、保有資産を活用したキャッシュフローの創出能力は着実に向上していると言えます。
「アルケミー・オブ・5%」戦略と強気の市場認識
同社は、イーサリアムの総供給量の5%を取得することを目指す「アルケミー・オブ・5%」戦略を堅持しています。2026年4月12日時点での保有量は487万4858ETHに達しており、これは総供給量(約1億2070万ETH)の約4.04%に相当します。
トーマス・リー会長は、現在の市場環境を「ミニ・クリプトウィンター(暗号資産の冬)」の最終局面と分析しています。直近1週間で約7万1500ETHを追加取得するなど、2025年12月以来の最大規模で買い入れを加速させています。リー氏は、ETHが有事の際にS&P500を上回るパフォーマンスを見せていることから、ビットコインと同様に「有事の価値保存手段」としての地位を確立しつつあるとの認識を示しています。
足元では含み損から含み益へ転換
決算期間中(2月28日まで)は巨額の含み損を計上した同社ですが、直近の市場価格の上昇により、財務状況は改善している可能性があります。
同社のETH平均取得単価は2206ドルですが、2026年4月15日時点の市場価格は約2330〜2390ドルで推移しています。これにより、同社の保有資産は足元で含み損から含み益へと転じている計算になります。また、4月10日にはニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場変更を完了し、自社株買いの規模を40億ドルに拡大するなど、資本市場での動きも活発化させています。
ポイント
- 2026年2月期決算で約38億ドルの純損失を計上したが、その大半はETHの評価換えによる含み損である。
- 売上高の約9割がETHステーキング収入であり、単なる保有に留まらない収益化モデルを構築している。
- ETH総供給量の5%取得を目指す戦略のもと、現在は供給量の約4.04%(約487万ETH)を保有。
- 直近のETH価格上昇により、平均取得単価(2206ドル)を上回る含み益の状態にあると見られる。
- 経営陣はETHを「有事の価値保存手段」と定義し、市場の停滞期を買い増しの好機と捉えて投資を加速させている。