米決済大手のStripe(ストライプ)は、AIエージェントが自律的に商取引を行う「エージェンティック・コマース」の普及を見据えた新たな決済インフラの構想を明らかにしました。ステーブルコインの活用や、AI同士の決済を支えるオープンなプロトコルの策定に加え、決済特化型の独自ブロックチェーン「Tempo(テンポ)」の開発を進めています。既存の金融ネットワークに匹敵する、オープンで効率的なデジタル経済の基盤構築を目指すとしています。
AIエージェントが主導する商取引とステーブルコインの実需拡大
Stripeの日本法人であるストライプジャパンは、2025年の同社における決済総額が約1.9兆ドル(約300兆円)に達し、500万社以上の企業が同社のインフラを利用していることを報告しました。同社は現在、AIエージェントが商品の検索から購入までを担う「エージェンティック・コマース」の台頭に注目しています。
この変化に伴い、決済手段としてのステーブルコイン(価格の安定を目的とした暗号資産)の役割が重要視されています。2025年の世界全体におけるステーブルコイン取扱高は約4兆ドル(約60兆円)規模に達し、そのうち約6割が企業間(BtoB)決済で利用されるなど、実需に基づいた利用が拡大しています。同社が買収したステーブルコイン決済プラットフォーム「Bridge(ブリッジ)」は、前年比で約400%の成長を記録しており、ステーブルコインを用いた資金移動の需要が急速に高まっているとされています。
決済特化型レイヤー1「Tempo」とオープンな決済プロトコルの設計
AI時代の決済インフラを構築するため、Stripeは独自のブロックチェーン「Tempo」の開発を推進しています。同社は、既存のブロックチェーンの多くが投機的な用途に最適化されており、商取引には必ずしも適していないと分析しています。
Tempoは、VisaやMastercardといった既存のカードネットワークに匹敵する性能を目指す決済特化型のレイヤー1(基盤となるブロックチェーンネットワーク)として設計されています。特定の企業が独占するのではなく、世界中から参加者を募るためにパブリック型かつオープンな設計を採用している点が特徴です。入力テキストに付随する情報によれば、Tempoは2026年3月にメインネット(実際に稼働するネットワーク)がローンチされています。
併せて、AIエージェント同士が自律的に決済を行うためのオープンな仕様として「Machine Payments Protocol(MPP)」を提唱しています。同社は、資金移動や決済処理などの中核機能は自社で提供しつつ、ステーブルコインのオン・オフランプ(法定通貨と暗号資産の交換)はBridgeと連携し、ウォレット機能などは外部パートナーを活用する役割分担を進めています。これにより、AI時代のデジタル経済を支えるエコシステムの構築を図る方針です。
ポイント
- StripeはAIエージェントが自律的に商取引を行う時代を見据え、決済インフラの再構築を進めています。
- 2025年のステーブルコイン取扱高は世界で約4兆ドルに達し、BtoB利用が6割を占めるなど、投機から実需へのシフトが鮮明になっています。
- 既存のブロックチェーンが商取引に不十分であるとの認識から、決済特化型の独自レイヤー1「Tempo」をパブリック型で開発・運用しています。
- AI同士の決済を円滑にするためのオープンなプロトコル「MPP」を導入し、特定の企業に依存しない決済標準の確立を目指しています。
- Visaとの提携拡大により、ステーブルコイン連動カードを100カ国超へ展開するなど、既存金融とWeb3技術の融合を加速させています。