米SECがDeFiのユーザーインターフェースに関する見解を公表 設計次第で規制対象外となる可能性

米証券取引委員会(SEC)は2026年4月13日、DeFi(分散型金融)に関連するフロントエンドやウォレットなどのユーザーインターフェース(UI)に関する見解を公表しました。この文書はSECスタッフによる解釈を示したもので、法的拘束力はありませんが、一定の条件を満たす場合にUI提供者がブローカーディーラー(有価証券の売買を仲介する業者)としての登録を免除される可能性に言及しています。これまで曖昧だったDeFi規制の境界線が、プロダクトの「設計」によって決まるという新たな指針が示されたことで、業界の転換点となることが予想されます。

ブローカー登録不要となるための5つの最低条件

米SECがDeFiのユーザーインターフェースに関する見解を公表 設計次第で規制対象外となる可能性

今回のSEC見解では、UI提供者が規制対象とならないための判断基準として、大きく5つの条件が整理されています。これらは、事業者がユーザーの代わりに意思決定や資産操作を行わない「中立性」を保っているかを測る指標となります。

1. カストディをしない

ユーザーの資産や秘密鍵を事業者が預からないことが求められます。資産管理に関与した時点で、金融機関に近い主体とみなされる可能性があります。

2. 投資助言をしない

単なるアドバイスの禁止にとどまらず、おすすめ銘柄の表示やランキング、ユーザーの判断を誘導するような表現(「今買うべき」など)を設計に含めないことが重要です。

3. 注文のルーティングや執行をしない

裏側で特定の取引所を選択して注文を通し、手数料を得るような行為は、取引の仲介とみなされるリスクがあります。

4. 手数料を中立にする

特定の取引へと誘導することを防ぐため、どの取引を選んでも手数料が同一であることや、取引所からのリベートを受け取らないことが求められます。

5. 裁量を持たない

アルゴリズムを含め、事業者側が意思決定に関与してはいけません。特定のルートを自動選択したり、特定のトークンを優先的に表示したりする設計は、実質的な判断とみなされる可能性があります。

また、これら5項目に加えて、ルート表示の客観性、営業的表現の禁止、アフィリエイト関係の開示、接続先の審査、詳細なユーザー開示といった追加要件も示されています。

「技術」と「金融」を分ける意思決定の所在

今回の見解によって、DeFiにおけるコンプライアンス(法令遵守)のあり方が根本的に変わるとされています。重要な分岐点は「誰が意思決定をしているのか」という点にあります。

ユーザーが自らの判断で選択を行っている場合は「技術」として扱われますが、UIや仕組みが実質的に判断を下している場合は「金融」行為とみなされるという整理です。これにより、これまでは開発後に行われていたリーガルチェックを、UI設計やアルゴリズム構築といったエンジニアリングの初期段階から組み込む「設計ベースの規制対応」が必要になると見られます。

エンジニアリングとリーガルの領域が融合し、プロダクトの構造そのものが規制への適合性を左右する時代に入ったといえます。

日本の制度設計への示唆とイノベーション流出のリスク

日本国内の規制の方向性についても、今回のSECの見解は大きな影響を与える可能性があります。専門家からは、DeFiを一律に金融として規制するのではなく、機能単位(投資助言、媒介、執行など)で分解して考えるべきだという指摘が出ています。

具体的には、フロントエンドやウォレットなどのUIが意思決定の裁量を持たない限り、それらを中立的な「技術」として扱う余地を明確にすることが提案されています。もし日本が技術そのものを過剰に規制する方向に進んだ場合、国内のプレイヤーが海外へ流出し、日本発のDeFiイノベーションが阻害されるリスクがあると考えられています。

金融的な行為のみを特定して規制し、技術そのものは規制しないという「行為に着目した規制」への転換が、今後の日本の競争力を維持する鍵になると見られます。

ポイント

  • 米SECが、DeFiのUI提供者が条件付きでブローカーディーラー登録を不要とする可能性を示しました。
  • 規制の対象になるかどうかは、カストディの有無や意思決定への関与といった「プロダクトの設計」に依存します。
  • ユーザーが自ら選択する仕組みであれば「技術」、システムが実質的に判断していれば「金融」とみなされる方針が示されました。
  • コンプライアンスをエンジニアリングの段階から組み込む、プロダクト設計の重要性が高まると見られます。
  • 日本においても、技術そのものを規制せず、金融行為を機能単位で特定する柔軟な制度設計が求められる可能性があります。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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