野村ホールディングスとデジタルアセット子会社のLaser Digital Holdings(レーザー・デジタル・ホールディングス)は、国内の機関投資家やファミリーオフィスなどを対象とした「デジタルアセットの投資動向に関する機関投資家調査 2026」の結果を公表しました。調査の結果、暗号資産を分散投資の機会と捉える層が増加しており、投資意向を持つ回答者の約8割が具体的な投資計画を有していることが明らかになりました。日本の機関投資家の間で、暗号資産を投機対象ではなく、実務的な投資対象として評価する動きが広がっていることが示されています。
暗号資産に対する印象の改善と具体的な投資計画
調査によると、今後1年先を見通した暗号資産に対する印象を「Positive(好印象)」と回答した割合は31%となり、前回調査(2024年6月)の25%から6ポイント増加しました。一方で「Negative」との回答は18%に減少し、国内機関投資家の見方が改善傾向にあることが示されました。
今後の投資意向については、3年以内に投資したいと考える回答者のうち、79%が「投資予定あり」と回答しています。想定する資産配分比率については、全体の60%が「2~5%未満」と回答しました。投資の主な理由としては「分散投資の機会を捕捉するため」や「他運用資産と低相関(他の資産と値動きが連動しにくいこと)であるため」が挙げられており、ポートフォリオの多角化を目的とした評価が高まっています。
ステーブルコインやトークン化アセットへの幅広い関心
暗号資産そのものだけでなく、周辺のデジタルアセット領域に対しても高い関心が寄せられています。ステーキングやマイニング(66%)、トークン化アセット(実世界の資産をブロックチェーン上でトークン化したもの、65%)、レンディング(65%)など、いずれの項目でも6割を超える回答者が「興味あり」と回答しました。
ステーブルコイン(法定通貨等と価値が連動するように設計された資産)についても、63%が「活用用途あり」と回答しています。具体的な用途としては、資金管理や海外送金、為替取引、トークン化有価証券への投資などが挙げられました。また、発行体については、円・米ドル・ユーロのいずれの通貨においても、大手金融機関が発行するステーブルコインを支持する声が最も高い結果となりました。
投資の障壁と実務的な課題への移行
投資を進める上での主な障壁としては、ボラティリティ(価格変動の激しさ)やカウンターパーティリスク(取引相手の債務不履行や詐欺等のリスク)、法規制の不透明感などが引き続き指摘されています。
一方で、投資検討を加速させる要因として、多様な投資商品の展開やリスク管理手法の確立、他社の参入拡大などが期待されています。調査結果では、投資にあたっての課題が抽象的な懸念から、より具体的な実務上の論点へとシフトしていると分析されています。今後、金融商品取引法(金商法)への移行など、制度面の整備が進むことで、日本国内でも機関投資家による資金流入が本格化する可能性があります。
ポイント
- 国内機関投資家の31%が暗号資産に好印象を持っており、前回調査から改善が見られる。
- 投資意向を持つ層の79%が具体的な投資予定があり、配分比率は2〜5%未満が主流となっている。
- 投資の主な動機は分散投資と他資産との低相関性であり、ポートフォリオ管理の一環として注目されている。
- ステーブルコインやトークン化アセットなど、インカム獲得や資産活用型の商品に対しても6割以上が高い関心を示している。
- 投資の課題は、規制やリスク管理といった実務的な論点へと移行しており、制度整備による市場拡大が期待される。